un deux droit

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第一章 エイプリルフール 5

「じゃー、とりあえず部屋いこか」 金髪に促され、棟の入口上部の壁に、緑色のポスターカラーで「C」と殴り書きされた通路へと誘われた。 「そういや名前まだやったな、俺、山田って言うやけど、寮ではおはぎって呼ばれてるからよろしくな。たいした意味はな…

第一章 エイプリルフール 4

私の淡い期待は脆くも崩れ去った。全寮放送を聞いて集まった顔ぶれは、先ほどの回で新入生を捕獲できなかった「はずれくじ」の面々だった。 前回の反省を踏まえたつもりなのか、それぞれの部屋は趣向を変えた一芸を披露してきたが、どれも付け焼き刃の生煮え…

第一章 エイプリルフール 3

今、目の前で起きた一連の出来事をうまく咀嚼できずに呆然としながら列の進むに任せていると、私の入寮説明の番が回ってきた。通された机には小柄で短髪の女性がボロボロのちゃんちゃんこを羽織って肩を丸めて座っていた。そのあからさまな座敷童子スタイル…

第一章 エイプリルフール 2

穏便な生活を確保したいというささやかな願いは、寮に足を踏み入れて30分も立たないうちに打ち砕かれた。玄関先でまごついていると、上級生らしき人物に声をかけられ、促されるままホールの二階へと連れていかれた。二階の廊下には、よそ行きの格好をして一…

第一章 エイプリルフール 1

人身売買 今、私の目の前には、ダンボール製のプラカードが二枚差し出されている。一つには「寮歌部屋」、もう一つには「スポーツ愛好会」という文字が殴り書きされている。そのプラカードを持つ男二人は、どちらも屈強な身体を誇らせながら、不気味なまでに…

お前はもう(思考が)死んでいる

妻から散々「人の話をとるな」と言われ続けてきたので、人の話を取るまい、余計なクチは挟むまいと、相槌に徹する訓練を積んできた。そのことには成功したのか、「人の話を取るな」と言われることはなくなった。その代わりに、「人の話に関心を示せ」「自分…

朝ごはんが苦痛に感じるお年頃

ここ2ヶ月くらい、朝ごはんはずっとこれ。ヨーグルトにバナナを放り込んで、オリゴ糖を回しかけておしまい。昼夜の食欲はあまり変わらないけれど、朝はとにかく食べられなくなった。特に炭水化物。パンもご飯も入らない。年ですねぇ。老後2000万問題というの…

同音異義語に聞き耳を立てて

シェアオフィスのラウンジで作業していると、いろんな業種の商談が耳に入ってきて面白い。午前は、私の後ろで海運業の業者と港湾の業者が商談をしていた。港側の方が船側の方に、うちを使って荷下ろししてくれ、的な話。 港側が船側に、最近の業況を訪ねてい…

継続こそ才能なり

長女が今月頭から、夕食時に卵焼きを焼くことにハマっている。どんな献立でもお構いなしに卵焼き。これがなかなか味付けや焼き加減が上手で、褒めているうちに習慣になった。そんな彼女が、今日の調理の際、フライパンを触ってしまい手の甲を火傷した。ちょ…

あなたがしてくれなくても 最終話感想

好きなドラマが一つ終わってしまった。Twitter上では「時間返せ」の大合唱だが、私としては満足する結末だった。Twitter上では、誠とみちが結ばれるべきだ、という意見が多いようだが、なぜその結末を望む人が多いのか、ちょっと理解に苦しむ。 誠とみちは、…

再現不可能な仕事をやり遂げて

今日の仕事はセミナー講師。セミナー講師と言っても、学校の先生のように情報やノウハウをお伝えするのではなく、参加者の考えを引き出し、意見を集約するファシリテーターをやってきた。アウトプットそのものを直接生み出すことはできない。あくまで参加者…

小学校で得られる学び

本日は授業参観。平日ということで、まだまだ圧倒的に母親の参加が多いが、形見の狭くない程度には父親の姿がいた。1教室に2〜3人程度。自分の幼少期と比べて、授業参観の頻度がめちゃ多い気がする。2ヶ月に1回ペース。年1回とかじゃなかったっけ。これとは…

知らぬ間に築いていた「反・自分らしさ」の檻の中でもがいてゐる

今朝も午前11時まで妻の説教。本日のテーマは「自分の人生のコンセプト」について。抗争のきっかけは、裏庭の活用方法について、妻の構想を問うたことだった。「人に聞く前に、自分はどのように活用したいか自分の意見を考えて、それを言え。私が考えて、そ…

見極めるべきは本人よりも親と実家

長女が猫を欲しがっている。私はペットを飼ったことがないし、飼いたいと思ったこともない。飼うことを検討することに時間と頭を使うことも惜しいと思っていたところで、妻の教育熱に火がついてしまった。子どもはすぐ巣立つ。どうせ飼うなら早い方が良かろ…

首輪としての札束

「男に子育てさせるのは、自然の摂理に反している」昨日、一緒に酒を飲んだ五十代男性会社員の方から、このようなご発言をいただいた。彼が言う「自然の摂理」というのが一体何を指すのかよくわからないが、とにかく女性が子育てに集中できない環境を作って…

ベッドタウンの図書館にて

今日は用事があって、隣町まで足を運んだ。一軒家に引っ越すまで住んでいた隣町。用事が終わり、夕飯まで少し半端な時間が余ったので、かつては毎週のように通っていた図書館へ久々に行こうという話になった。冒頭の写真は、新刊コーナーで本日入手した戦利…

無意味なことの意味

昨夜はPTAの役割で、町内会の人と夜間パトロールをしてきた。拍子木を打って「火の用心〜」と声を張り、練り歩くアレ。死滅した文化だと思っていたが、持ち家エリアにはまだ残っていたのだね。北海道の地元でもやらなかった(隣家まで遠すぎて練り歩けない)…

外来種に食い散らかされて

今週は、営業からオーダーがあって、研修シナリオを一本書き上げた。営業はその内容が気に入ったらしく、ほかの営業にもパワポを拡散してくれて、皆好き勝手にスライドの手を加えて提案書の素材にしてくれている。鯉の池に食パンを千切って散布するときの愉…

獰猛な生物との共生

今月の妻の生理は、生理後の方がめんどくさい。 それはきっと雨のせい。今日は晴れていてご機嫌。天気予報が家庭の平穏とシンクロ。洗濯物が乾くかどうかで一日の吉凶を決めている。家族は何でも言えるべきってあなたは言うけどさ、私たちはあなたが日常でた…

倦怠との戦い

新規事業を始めて1年と2ヶ月が経過した。新規事業を軌道に乗せ、会社の屋台骨となるまで育て上げるにあたって、障壁となるものはないだろうかと常日頃警戒しながら過ごした。その障壁は顧客のニーズとのミスマッチだったり、社内政治に足をすくわれることだ…

バカには定期的に薬をつける

先週の東京出張は不完全燃焼だった。広報誌に載せるための、顧客を招いての対談。 企画内容とキャスティングは申し分ないと思っていたが、思いのほか盛り上がらなかった。対談者が胸に抱えた問題意識や持論が、その肩書の割に思いのほか弱く、撮れ高が少なか…

新宿へGO

今日は東京出張。前日に妻が生理、当日は大雨、JRは遅延と踏んだり蹴ったりだがなんとかフライトには辿り着けそう。困難多すぎぃ!出張のたびに、行くだけでイレギュラーな困難が襲ってくるのだが、皆そういうもんなんだろうか。それとも私だけ過剰に業を背…

【書評】劉慈欣『老神介護』/『流浪地球』

三体シリーズを読破して、もう彼の文章はお腹いっぱいだと思っていた。宇宙をネタにした話はもう三体で書ききったでしょ。あれがもう唯一無二の結論だよ。これ以上何を付け足すことがあるの。そう思えるくらい、三体が素晴らしかった。彼の他の作品を読んで…

早いもん勝ちのお題な気がするよ

今週のお題「好きなグミ」 もはやただこの画像が貼りたかっただけ ねるねるねるねも挑戦したことのないような温室育ちだった小学生の私が、急に非行に走ったと思われたお菓子。 美味しいという感覚はない。純粋な刺激物。退屈な日常にむりやりメリハリをつけ…

孤独と自由はいつも

束縛されるのが嫌で、仕事の内容を固定されるのが嫌で、新規事業をつくり、部署移動を叶え、そして暇になった。 上司も同じ空間にいないし、服装も自由、勤務時間も自由、おまけにちょびっと昇給も叶えて2か月が経とうとしているが、すでに味気無さを感じて…

レンタサイクルから見える未来予想図

昨夜、明日のランチどうしようかな~博多駅周辺の店に飽きたな~なんて漫然と考えていると、「そういえばオフィスにレンタサイクルついてるじゃん」ってことを不意に思いだした。博多駅周辺は行きつくしたし、ちょっと高いし、並ぶし、取り留めて美味しくは…

【書評】國分功一郎『目的への抵抗』

先日、フォローしているブロガーさんが紹介していた『暇と退屈の経済学』という本を読んでみたところ、たいへん面白かった。するとその「続編」と題した新書が書店に並んでいたので即買い。タイトルがまた良い。目的への抵抗。ありふれた言葉どうしをくっつ…

子ども会の父母の溝を埋めたい

昨日は町内会の会合に初参加してきた。事の発端は、年初の餅つきにボランティアで参加したこと。町内でパパのネットワークをつくろうとするパパさんの目に留まり、LINEを交換したのが運の尽き。すぐにグループラインが立ち上がり、みんなで顔合わせしようと…

マシンガンズに漫才の本来の姿を見る

THE SECONDは初めての試みということを感じさせないような、完成度の高いコンテストだった。フジテレビの本気を見たという感じ。M-1のような緊張感はなかったし、漫才としての完成度や技巧を凝らした笑いの精密さもM-1ほどでなかったかもしれない。しかし、…

肉とゴボウ天と出汁と福岡

今日のランチは、久々に葉隠うどん。博多駅から徒歩圏内と言うにはギリギリアウトな場所にあるけど、博多駅周辺で一番美味いから仕方がない。こんなところまで観光客は来るまい、と思っていたが、しっかりきっちりマークされていて、バッチリ行列に並んだ。…