un deux droit

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マシンガンズに漫才の本来の姿を見る

THE SECONDは初めての試みということを感じさせないような、完成度の高いコンテストだった。フジテレビの本気を見たという感じ。

M-1のような緊張感はなかったし、漫才としての完成度や技巧を凝らした笑いの精密さもM-1ほどでなかったかもしれない。しかし、その粗削りな様が、生身の人間がパフォーマンスしているという臨場感を増幅させ、ワクワクして漫才を見ることができた。これこそが、この日このとき限りの、二度と再現できないライブの醍醐味だと思う。

ひるがえって、M-1はもはやスポーツの域に達してしまっているということにも気付かされる。まるで、寸分の間の狂いもなくしゃべくれるマシーンを目指しているかのようだ。それはそれで感動的だし、漫才としても面白いのだけれど、どこか打ち込みの音楽のような遊びのなさがあった。昨年のさや香は2本目の出だしでつまづき、そのまま優勝を逃したが、それはあくまで「演技」としてのミスにすぎない。本来の漫才ならばそのミスすらも笑いに変えて喋り倒して、優勝まで押し切ってよかった。しかしM-1はもはやそんなことが許されない競技になってしまった、と言える。

漫才ってそういうもんじゃねーだろ?そんなアンチテーゼをTHE SECONDは漫才コンテストに持ち込んだ。制限時間6分という贅沢なゆとり。評価を一般人に委ねきるという大胆さ。その冒険に全力で応えていたのはマシンガンズだったと思う。決勝のネタはおよそネタと呼べる構成ではなかった。ほぼフリートーク。台本なんか用意しなくても、俺たちは客を笑わせられる。そんな矜持を感じた。そして見事に笑わされた。コントじゃあるまいし、漫才に名前も設定もいらねーだろ。そんな中指立てたストロングスタイルを貫いた彼らは、私に漫才の本来の姿を思い出させてくれた。彼らの話は何一つ覚えちゃいないけど、ただただ笑ったなあという記憶だけが残っている。