un deux droit

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子ども会の父母の溝を埋めたい

昨日は町内会の会合に初参加してきた。事の発端は、年初の餅つきにボランティアで参加したこと。町内でパパのネットワークをつくろうとするパパさんの目に留まり、LINEを交換したのが運の尽き。すぐにグループラインが立ち上がり、みんなで顔合わせしようということになったまでは良かった。しかし、いつの間にかそこに町内会の役員も参加するという話になり、パパだけの呑気な飲み会サークルになる予定が、しっかり町内会に取り込まれてしまった。

公民館に顔を出すと、そこには町内会役員だけでなく、子ども会の役員も顔をそろえていた。子ども会は町内会の下部組織みたいな位置付けで、小中学生向けのイベントを専門でやっている。その運営はなぜか母親だけでされていて、会長・副会長・書記・会計と全員女性で固められていた。

それぞれ自己紹介した後、すぐに宴会かと思いきや、子ども会の会長が「乾杯する前に」と口を開いた。

「今年の子ども会の運営についての提案なんですけど、せっかくこうやってパパさんの会が立ち上がったのだから、子ども会の定例イベントの企画を交代でやるのはどうでしょうか」

聞けば、子ども会の役員はくじ引きで決まり、今年の役員は特にモチベーションがあるわけでもこれまで参加した経験が豊富なわけでもなく、1年間回せるか不安なのだそうだ。順番が回ってきただけの女性でしぶしぶやるより、有志で集まった男性で企画した方がうまくいくことも多いのでは?そんな問いかけだった。

その提案に対して町内会長が反論した。
「父親の会は有志がただの親睦会として立ち上げたばかりのもので、会員同士もまだ顔合わせをしたことすらない状況だ。そんな組織にすらなっていない集まりに企画を任せるのは酷だ。今日来てもらったのは町内会として可能な範囲で若手の男衆にも助力してもらえないかというお願いをするためで、あくまでサポートの範囲。もちろん子ども会の企画にもサポートしてもらえたらという期待はあるが、あくまで主体は町内会であり、子ども会だ。そこはたとえくじで決まったという経緯があるにせよ、責任感を持ってやってほしい。今ここでパパさんたちに急に負担をかけて、そんなことになるなら入らなきゃよかったと機運が削がれるようなことはしたくないのだ。助けが必要と言ってくれればいつでも手伝う用意があるから安心してくれ。」

その後30分ほど押し問答があったが話は平行線。結局子ども会が折れる形となり、父親グループの子ども会の運営参画は塩漬けとなった。ボランティアの機会を何度か積んで、要領を掴んで、顔なじみができてきたときには合流できるかもしれないね。そんな留保を残しつつ。子ども会の役員はこの提案をするためだけに集合したようで、後の懇親会には参加せずに帰ってしまった。

やや気まずい空気の中で懇親会スタート。彼女たちが帰った後は「今期の役員は責任感が無くていけない」「図々しいお願いだ」と言いたい放題。私は新参者なので余計な口を挟まず黙っていた。



これまでの経緯を知らない私からすれば、そもそも子ども会の運営が母親だけでなされている事実が不公平だよねと思う。なんで母親は拒否権なく逃げられないのに、父親は自分の都合のいい時だけ出たり入ったりできるのよ。母親に負担をかけすぎて、子ども会の運営をやりたがる人が減ってきたから、はずれくじ引きみたいな決め方になっているんじゃないの?聞けば、母親同士もお互い挨拶程度でほぼ他人に近い間柄らしい。つまり立ち上がったばかりの父親の会と、コンディションはほぼ一緒。なのに父親の会だけはそんなに手厚く保護されて、母親の側は四の五の言わずやれっていうのは酷だ。本来なら、父親の会の発足などとは関係なしに、子ども会の運営に父親がもっと関与、貢献すべきで、それはもう今すぐにするべきことなのだ。それなのにわざわざ子ども会とは別に父親の会という別団体を立ち上げ、別組織として並存させることは、かえって父親と母親の溝を深くするだけのように思う。

飲み会が終わり、帰り際に町内会長が「物事を急に変えられるなら世の中なんでもすぐに良くなるはずだ。世の中が良くならないのは物事というのはすぐに変えられないからなのだ。慎重に少しずつ変えていかないと世の中は良くならないのだ」とけむに巻いた話をこぼしていた。漸進主義。保守派の伝統的な考え方ですな。でもそんな大げさな話じゃないと思うんです。あなたがせき止めなければ物事はすぐに解決したと思います。既得権益を持つ側がほんの少し手放すだけで一瞬で解決する問題が世の中にはたくさんあるのに、ほんのちょっと手も手放したくないのが人間の業ですよね。わかります。でもね、確かにゆっくり変わるほうがハレーションは少ないですが、変わったときにはもう今年の子ども会役員は任期が終わっているのです。この一年間彼女達に救いの手は差し伸べられず見殺しです。そんな思いが頭を渦巻いていたが口にはしなかった。穏便に暮らしていきたいので。その意味では子ども会の役員から見れば私も同罪だ。

新参者の私にできることは、秘密裏に子ども会役員と接触し、水面下で企画立案に携わったり、下働きを買って出たりという隠密行動をとることだ。表向きに合同でやると角が立つ。町内会長がいい顔をしない。でも裏で繋がっていれば、子ども会役員の負担は実質的に半減することが可能だ。その実利さえ取れれば彼女たちは満足するのではないだろうか。

父母の溝を埋めるスパイ活動は、長期の育休を取って女性の輪に男性1人で乗り込むという経験に何度も晒された、私のような人間でないと難しいのだと思う。女性の男性に対する絶望感の払拭に少しでも貢献出来たらいいのだが。それにしても、この自分の平等主義者的な性分、どうにかならないもんかな。