un deux droit

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バカには定期的に薬をつける

先週の東京出張は不完全燃焼だった。

広報誌に載せるための、顧客を招いての対談。
企画内容とキャスティングは申し分ないと思っていたが、思いのほか盛り上がらなかった。対談者が胸に抱えた問題意識や持論が、その肩書の割に思いのほか弱く、撮れ高が少なかった。あとは編集で肉付けするしかない。

対談の仕上がりに勝手に失望して、その後の懇親会ては話がほとんど耳に入ってこず。自分でもダメだとは思っていても、目の前のおじさんたちにすでに関心が失われている。この企画に携わってくれた社員が私の他に二人いて、たまたまその二人がどちらも同期ということもあり、彼らに対する甘えもあった。もう自分の役割は終わったから後は任せた。

対談した顧客から「この世代はタレントが揃っていて盤石だね。これからの御社を引っ張っていく世代とこうやって関係を持てて嬉しいよ」と言われた。散々言われ続けた黄金世代。顧客から見たらこれだけ豪華なメンツを集められる広報誌の編集長だからそこそこの役職もらってると勘違いさせてしまったと思うけど、私は主任で両脇が執行役員なんです。助さん格さんに挟まれた一般人です。芸人にだけ面白いと思われてる芸人みたいなものです。心臓は右にないです。はい。そんなやつに安いギャラでMCやらせて、ひな壇に売れてる芸人置くような異常な会社なんです。仕方ないんです、この二人、売れてるけど「イェーーイ」「サンキューー」と大声で叫ぶ芸風一本でやってきたんで、回せないんです。

そんなキャラ芸人で執行役員の同期と二次会。子どもが生まれてから酒を飲む習慣をやめたので、不覚にも酔い始める。酔い始めると、私は心にもないことをペラペラと言いたくなる癖がある。私は二人がお互いのことを認めておらず、足の引っ張り合いをしていることを知っていたし、彼らの部下の女性からハラスメントを相談されていた。「仲良くしろよ」とか「お前のアレ、ハラスメント」だぞとか直接言って理解できる賢明さはない。かわりに私はこんなことを呟いた。

「俺はこの会社を辞めないと思う。この世代でこの会社を乗っ取れる。それだけのメンツが揃っている。だからこの三人は足並みをそろえて頑張ろう」
「お前たちは社長副社長の器だと思っている。だからそれを目指してほしいんだ。今のポジションでそのまま行くなら今のマネジメントで構わないけど、もっと上に行くなら下からの信望を集めなければならない。つまらないことで足をすくわれないように今のうちから用心しろよ」

学歴コンプレックスを抱えている彼らが、コンプレックスの対象だった私にこんなことを言われて、鼻の穴が膨らんでいることを如実に観察できた。ひとまず今夜の成果はこれということにしようと決め、解散した。


翌日、ハラスメントに悩んでいた女性社員たちから「池崎さん、今日イヤミ度ゼロなんですけど昨日なにかいいことあったんですか」「尾崎さんと池崎さんがギスギスしてないの逆に気持ち悪いんですけど」「まぁでも空気が良いにこしたことはないんでサイコーです」とフィードバックがある。平和な世界。こんなんでよければ喜んで。でもこれもう何年も同じこと言ってるんですけどね。鳥頭だからすぐ忘れちゃうんですよね。また三年後くらいにメンテナンスします。

ちなみに、私に対して言いたいことないんかと聞いてみると、「営業件数が少ない。予定スカスカじゃん。勤務態度が悪いから管理職に推薦できない」とのお言葉。やれるだけやってみるよ、とその場しのぎの回答をした。帰宅後連日のように妻の叱責を受け、勤務時間と精神力を削られ続ける私に管理職になる道はない。