un deux droit

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妻はいつも被害者で、私はいつも加害者

仕事をしているとLINEの通知が鳴り止まない。また何か地雷を踏んだかと暗澹たる気持ちでスマホを見ると、案の定妻から怒涛の書き込みが。住宅ローン申請書類に捺す銀行印が認識しているものと異なり、2回めの返送が来たとのこと。実印でも銀行印でもなく、学生時代のしょぼい印鑑のまま。自分の記憶違いで登録変更手続きをしそこなっていたらしい。
昼休みに恐る恐る電話をしてみると烈火のごとくお怒りの様子で、「どうして何回も同じ手間を取らせるのか」「自分の登録している印鑑が何かをなぜ把握していないのか」「この印鑑が本当に登録されているものだろうかと何故一度も疑問に思わないのか」と、自身の情報管理のお粗末さと人の手間に対する配慮の無さ、契約事に対する当事者意識の欠乏について電話口でさんざん怒鳴られた。音量を最小にしても耳に刺さる刺々しい声が脆弱な精神を貫通する。
悪いのは確かに私だ。妻に非はない。ただ私の犯したミスと妻の叱責とがどうも釣り合っていないように感じてしまう。言われるのが嫌ならもっと細心の注意を払えよというのが妻の言い分だが、妻の許せないことは本当に多いし、妻の言うようなアンテナの感度(ひょっとしてこれは違うんじゃないか)を保つのは私にはとても困難だ。それを困難と言うと「やる気がない」「真剣に対処する意欲がない」「上昇志向がない」「現状維持は停滞」と火に油を注ぐだけだ。彼女が他人に求めるコミットメントや業務遂行能力の水準を頑なに下げないことにとても窮屈さを覚えている。妻は期待値を下げると人はどこまでも堕落すると言って聞かない。私はこの水準で家庭にコミットしているのに、あなたがそれを常に下回るコミットしかしないのであれば不公平感が募り耐えられない。などなど。

私は内容云々よりも、ただその「ガミガミ」をやめてほしいと懇願しているだけなんだけどな。そのキンキンのトーンで言葉のシャワーを浴びると心の底から憔悴して、狼狽して、落胆してしまう。心が挫ける。それを精神が軟弱だという妻は鬼に見える。私はそれをモラハラだと思い、妻は私の不手際をモラハラだと言う。「暴力を振るってなくても傷つけたら嫌がらせ」という定義を私の不手際に適用し、妻の「ガミガミ」はそれに対する苦情なのだからモラハラには当たらない、最初に問題を起こすのはいつもお前だ、と言って聞かない。刑法36条2項に「過剰防衛」の項目があるので、妻に誰か教えてあげて下さい。