un deux droit

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そうめんは津軽海峡を越えない

今週のお題「そうめん」
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北海道では年に2〜3回しか食べなかったそうめん。福岡に来て以来、夏の期間は週1で食すようになった。夏の期間といっても5月から9月くらいの長期にわたる。それくらい暑い期間が長い。故郷では5月にようやく桜が咲くというのに、随分な変わりようである。

幼少期はそうめんが嫌いだった。すぐ味に飽きて食が進まない。こんな手抜き料理のどこがいいのだと真面目に憤慨していた。でもこれは単に気候の問題だった。西日本の夏は、むしろそうめんくらいしか食欲が湧かない。子どもたちもそうめんなら喜んで食べる。飽きもしない。遂には今期から流しそうめん器を導入してしまった。これが内地の夏の楽しみ方なのだなとようやく理解した。

大学時代、本州から進学してきた一年生は、夏になるとこぞって流しそうめんの企画を練り始めた。喜び勇んで水流に麺を投入し、昼間から缶ビールなどを空けてはしゃいだのも束の間、当初の勢いは急降下し、気まずい空気で片付けを始め、それ以来二度と行われない、という一連の顛末を四年分見てきた。本州の人間は鉄板で盛り上がる勝算があったのだろうが、サッポロの夏はそうめん効果でしっかり体が冷えてしまえる程度に暑くない。そうめん後の余興としてキンキンに冷やしたスイカが割られずに主催が持ち帰る悲劇も何度か目撃した。何故こうも愚かな本州人が多いのかと訝しく思っていたが、彼らが思い描く夏を骨身に染みるほど味わってようやく同情できるようになった。

余談だが、九州に来てすぐは、そうめんの流儀を知らずに妻から顰蹙を買っていた。湯がいたそうめんはざるに明け、それとは別に氷水の桶を用意し、ざるからこまめにそうめんを移し替える、というシステムが厳格に守られている。^_^ざるのまま出すのは言語道断。かと言って氷水に全量漬けっぱなしも麺が伸びるとブーイングを喰らう。妻は全国このやりかただ、道民がおかしいと言い張っていたが、このやり方はローカルルールらしいことをネット記事で読んだ。さらには薬味として生姜のすりおろしとすりごまが無いと不機嫌になる。ネギだけではダメなのだ。この辺りも慣れるのには何度かの夏を要した。北海道の父母よ、この地域にひやむぎは存在しないぞよ。