撮りためてた「パラサイト 半地下の家族」をやっとこさ視聴。これはなかなかの傑作ですよ。中盤、話が急展開を迎えてからは見るのつらくなるけれど、最後まで観てよかった。
この作品は何を伝えたかったのだろうか。単純に格差社会の悲惨さを描いただけじゃないように思う。登場する金持ち家族はその誰もが人格者で性格良く描かれている。家政婦やスタッフに横柄な態度を取らない。1人の人間として敬意を払い、対等な目線で向き合う。財に溺れず、誠実に真剣に努力を重ね、家族への愛を絶やさずに生活している。
しかし、だからこそ、同じ世界を共有しているはずの貧困層の存在が徹底的に眼中にない。金持ちが慈愛あふれる人格だからこそ、その視界の欠落が辛い。これならばまだ侮蔑したり嫌悪してくれる方が存在を認識しているだけまだマシとすら思えてくる。その棲む世界の圧倒的な隔たりが「匂い」という形で執拗に描かれる。富める者の視覚の機能不全と貧しき者の嗅覚の機能不全が皮肉なコントラストを形成して迎える悲劇的な結末。救いはないが、観る者の五感を鋭敏にしてくれる。そんな作品。
それにしてもチョ・ヨジョンという女優さん、とんでもない美人だったな。この人のほかの出演作品見て見よう。