un deux droit

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【書評】BREATH呼吸の科学

長らく自分は呼吸が下手だなと自覚していた。ヨガなんかに行くとよくインストラクターから呼吸の指示が出されるが、吸うのか吐くのか次第に混乱してくるし、長い呼吸が難しい。お腹を膨らませたり凹ませたりという指示が加わると呼吸への意識が途切れて無呼吸状態になる。それくらい「呼吸音痴」である。

とはいえ呼吸が上手にコントロール出来ないことで、日常生活に支障を感じたことはなかった。ヨガやストレッチで呼吸の指示をされたときに不快感を味わうとか、プールで息継ぎができないとか、会話の最後で息切れして語尾が不明瞭になるとか、せいぜいその程度だ。しかしそれは、自分が呼吸と様々な不具合とを結びつける知識がないだけで、実は呼吸ベタであることで様々な支障が出ていると認識できていないだけの話だったかもしれない。そんな事が分かる本。

例えばランニングで毎週10km走ってもただ不快な筋肉痛が残るだけで一向に痩せないのも、いびきをかくのも、歯並びが悪いのも、発達障害的な行動を取ってしまうのも、すべて呼吸不全から来ている可能性がある。記載されている事例にいちいち思い当たる節がある。スピリチュアルな話ではなく、生物の機能的な話を紐解いているので話に合理性がある。読み進めていくと恐怖から鼻呼吸をせざるを得なくなってくる。呼吸の本なのに、安っぽいライフハック本ではなく、サピエンス全史みたいなスケールがあるので読み物として単純に面白い。

日本だとロングブレスダイエットの美木良介がなんとも胡散臭かったので、かえって呼吸を軽視する文化ができてしまった気がする。あれほど大げさなことをしなくても体を整える簡易な呼吸法が多数記載されているので、自分にあったものを選り好みすればいいと思う。個人的に交互鼻孔呼吸の効果は即効性があり眉唾でないと感じた。サウナなんかいちいちいかなくとも簡単に「ととのう」よ。

とりあえず鼻呼吸してガムを噛む習慣をつけようと思う。効果が出るのは半年後くらいかな。