un deux droit

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大切なことは、いつもTVゲームから学んでいた。

人生で初めて買ってもらったゲームがこれって、今思えばよほどスパルタな親族だと思う。5歳のやるゲームじゃない。

私はファミコンをクリスマスプレゼントにねだったとき、ソフトは「ヨッシーのクッキー」を要望したはずだった。従兄弟の家でやってめちゃくちゃ楽しかったので、自分の家でもやりたいと思ったのだ。頼んだのがじいちゃんだったのがまずかった。まさか、こんな高め内角を抉るビーンボールを放ってくるとは。当時はわかる由もないが、Wikipediaで調べてみると、スーパーマリオUSAは、私がファミコンを買ってもらうはるか前に発売されている。大方売れ残ってワゴンセールになっていたものを、よく考えもせずに掴んだのだろう。
大根を引っこ抜いて敵にぶつける。キノコは積み上げるもの。敵は踏んでも潰れない(乗れる)。ラスボスはクッパですらない。私のマリオの世界観が著しく歪んだ元凶にもなった。

買ってもらってからの1年間は、全クリはまずもって不可能だった。自力で見つけたか、友達に教えてもらったかは忘れたが、先の面にワープできる近道があり、1面から4面、4面から6面へと一足飛びに行くのだが、6面がまた難しい。砂漠に足を取られ思うようにプレイできない。そして鍵を取ると不気味な軌道で動く仮面が襲ってきて、かなりのトラウマ。結局どうしてもその先に進むことができず、途中で匙を投げてしまったのだ。

そこからおよそ3年後。スーファミが我が家に登場し、ドンキーコング3を完全攻略できるくらいまでに成長した私は、不意にまだクリアしていないソフトがあることを思い出した。今の実力ならもしかしたらクリアできるかもしれない。やや埃を被ったファミコンを取り出し、久々に起動してみた。
その頃にはいっぱしにコンプリート根性が根付いていた私は、「そういえば1面でいつもワープしてたけど、2面以降知らねーな」ということに気づいた。買ってから4年を経過して初めて、私はワープせずに一つずつ攻略してみることを試してみた。

すると自分がほぼ記憶のない2面と、全く初見の3面に出くわし、自分がこのゲームの半分以上を楽しんでいないことを今更知った。なんだこれ、めちゃくちゃやりごたえあるじゃん。昔よりゲームの腕が上達していた私は、初見の面もサクサククリアできた。

そしてこれまた初めて到達した5面。4面でワープを選ばなければこんなステージを楽しめたんだな。そんなことを思いながらプレイを続けると、予想外の発見が。これワープの壺じゃね?恐る恐る入ってみると、7面に飛んだ。まさかのラストステージ。この到達方法があったとは!!どうしてもクリアできなかったトラウマの6面をスキップできる道が、このゲームにはそもそも用意されていたのだ。
(余談だが、その後3面→5面へのワープも見つけた。4面は氷の面でこちらも好きではなかったので、1面のワープもスキップしていたら嫌いな4、6面を丸ごと回避できたのだ。)

流石に7面は多少手こずったが、何度かプレイしてラスボスまで漕ぎ着ける。パッケージに書かれていただけのラスボスが動くキャラクターとして相見えたことにじわりと感動した。そしてフィナーレ。今までの話は全部夢の中のことでした〜という夢オチも初めて体験した。一抹の寂寥感もあってか、何度かワープなしで全クリをした後、改めてスーパーマリオUSAを、4年の留年の後に「卒業」した。ただゲームをクリアしただけなのに、少しだけ大人になった気がした。

スーパーマリオUSAの教訓は今でも私の人生に活かされている。美味い話は罠であることが多い。横着すると目的は達成できない。早く目標に到達することだけが人生の喜びではない。一つ一つのプロセスをじっくり味わうこと自体が楽しいことだし、そうやったほうが案外早く目標に到達することもできる。そして、あんなに喉から手が出るほど望んでいたゴールは、いざ手に入ると案外味気ないものだ。そうやってまた次の目標を探し彷徨い、束の間の没頭を繰り返してゆく。





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