un deux droit

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どうせオワコンなのだから潔く足搔かない

数年前に会社を退職した先輩をZoomでお招きし、座談会を開いた。彼は外資系の人事コンサルをしており、客観的立場で当社の事業戦略上の勝ち目や今後予想される変化などを自由に述べてもらった。結論としては、当面つぶれないだろうが、ビジネスモデルとしてはすでに陳腐化しており、ここにとどまるのは一人ひとりのキャリアにとって実りが少ない。要するにできるだけ早く撤退せよ、とのこと。若手を発奮させる意図で偉大な先輩をお招きしたつもりだったが、現実を突きつけるという冷や水を浴びせるだけになってしまったかもしれない。
オワコンの業界、オワコンの会社、オワコンの業務。これから十数年でそんなものは山のように湧き出てくるだろうと思う。荒波が来ることは分かっている。しかし、救命ボートに乗る資格は荒波が来るまでに手に入らなそうだし、努力を重ねて救命ボートに乗り込む資格を手にしても、その救命ボートが沈まない保証もない。嫌な時代だ。結局のところ、凡人にとって絶対の勝ちを拾える秘策などないのだ。だから実はそんなことを考えていても仕方がない。最近はそんな開き直りをしている。
むしろこんな時代だからこそ、将来性なんか考えず自分が夢中になれる仕事に脇目も降らず没頭した方がいい。それ以外のことは、たとえ出世につながりそうでも、周りからの評判が期待できそうでも、手を出してはいけない。人の評価を求めても、高く評価をしてくれた人が一生食わせてくれるわけでもない。都合が悪くなればそこでサヨナラだ。それよりも、自分が価値を感じる仕事を納得いくまでやり抜いた方がそれだけで気分が良いし、人に振り回されないで軸がしっかり自分の中にもてている安心感がある。それで対して食っていけなくても仕方ないと思える。自分の才能や興味が時代の求めるものと違っただけだ。そう自分に言い聞かせ、対してやりたくもない仕事で荒稼ぎしている先輩のうつろな表情を頭から振り払い、転職の決断を今日もずるずると先延ばしにする。