un deux droit

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山崎豊子「白い巨塔」

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全5巻読了。単なるドロドロの権力闘争ものかと思いきや、その辺りの話は前半で大体かたがつき、中盤からはほぼ医療裁判、最終盤は主人公自身の病との戦いという、様々なテーマが輻輳していた。この本のテーマを一言で言うならば「矜持」。医学者としての矜持、法学者としての矜持、商人としての矜持。それぞれが様々な葛藤に苛まれながら皆最後は矜持を失わなかった。結末は悲劇だが、それぞれの登場人物に感情移入し、心が熱くなる作品。