12月はあっという間に過ぎると言うが、中年になってからは、11月から2ヶ月連続で師走なんじゃないかってくらい、時の過ぎるのが早い。おそらく、やることがいっぱいで慌ただしいのではなく、日々を漫然と過ごしていて印象の薄い時間経過を辿っているからだと思う。
11月は業務時間のほとんどをスマホゲームに当てていた。プレイヤーの上位0.5%しか持っていないような難易度の実績解除に成功した。「一度もダメージを喰らわないでステージをクリアする」というミッションを140面分クリアした。高い操作技術と、それを安定して繰り出せるための持続的な感情コントロールが求められるため、重課金勢でも容易に手を出さない称号だ。札束を積んでもどうにもならないところが気に入っている。むかしかろ、ドンキーコング、ヨッシーアイランド、星のカービィスーパーデラックス、クラッシュ・バンディクーと、完全クリアを目指す遊びに嗜癖していたので、こういうチャレンジが自分にとって生きがいなんだと思う。
ただ、クリアが現実味を帯びてきたラスト1週間あたりが一番エキサイティングで、残り2つくらいからは、あぁこの遊びももう終わってしまうのか、という切なさが纏わりついてくる。クリアしてしまった今となっては駆け抜けた脱力感とともに、だからなんなのだという虚無感に襲われている。そうしてまた次の、一時だけでもしゃかりきになれるダミーの目標を拵えて人生をやり過ごしていくのだろう。
そんな暮らしをしててなぜクビにならないのかと言うと、新規事業のほうが順調に推移していて、要所要所の会議で大きめの決断を下していれば仕事をした感じになるゾーンに突入しているからだ。会社から追加投資をもぎ取る稟議も通った。周囲からすればさぞかし社内政治、社内調整に奔走しているのだろうと思われている気がする。今のところ。あるいは事業の次の一手を構想しているのかも、とか。もちろんそれらもやっているが、実はそんなに手を動かすことはなく所要時間もかからない。ゲームに没頭している隙間にパッとひらめいたものを1時間くらいで資料に落とし込んだりしているだけだ。実際に自分で物を考えない人からすれば、もっと時間と労力のかかっている仕事に見えるのだろう。その差分で今、サボりまくっている。
誰からも監視されず好き放題の生活を数ヶ月していて思うのは、別に対して幸福感は高まらないなということ。不快の除去はできても幸福の増幅には繋がらない。なんだかんだ言って人と関わる中でしか幸せを感じることはできない。そしてそれには不快を伴う。なかなかうまくいかないものだ。
12月はもう少しいろんな人と関わろう。