un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

最初の一押し屋さん

最後の点滴を投与してもらい、本日をもって肺炎闘病生活が終了した。入院はしなかったものの、先週金曜から毎日総合病院に通院して30分の点滴をして帰る生活はなかなかにしんどかった。病院の待合室でスマホのテザリングを駆使して、点滴をつなぎながらパソコンカタカタやっている変人は自分くらいなもんで、ご老人たちの白い目を背中でひしひしと感じていた。別に急ぎの仕事があるわけではない。ただ、仕事をするのに多大な気合を入れずともサクサクとできる身体の軽さが小気味よくてついついキーボードを叩いてしまうのだ。

仕事はやる気に満ちている状態より、やる気がなくても手が止まらない状態のほうが遥かに望ましい。下手に達成感や高揚感といったピークの状態を設定すると、必ず休息やご褒美が欲しくなる。結果、急アクセル、急ブレーキを繰り返す羽目になり、トータルで見たら燃費が悪い。それよりも6割のスピードをキープして走り抜けたい。

6割キープで仕事をしていると、やるべき業務が見通しよりかなり早めに尽きる。いかに普段の効率が悪いのかということを思い知らされる。こういうときこそ苦手なもの、難しいと感じて後回しにしていた業務の出番だ。6割の力で掘削していてもそれなりに前に掘り進められる。いくらか進捗があればそれをチームで共有するだけで助っ人の力を得られる。慣性を働かせるまでの最初の労力は、慣性がついたあと押し続ける労力とさほど違いはない。でも人はなぜか前者を高く見積もり、回避しようとする。そのおかげで最初の一押しばっかりやっている私は、かけた労力より多くの評価をいただくことになる。

他人が動かし始めたものを後追いで押していくほうが楽なような気がする錯覚に打ち克って、動いていないものを最初に押す人生を選ぶのは大変おすすめです。