un deux droit

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誰も私にmiss youと言ってくれなくても

昨晩は咳のピークで、流石にもう一度通院しよう、ということで馴染みの耳鼻科に行った。咳なのになぜ耳鼻科、と思われるかもしれないが、「喉の調子が〜」と少しでも被った症状を訴えたら診てくれる、そしてあらゆる角度からいろんな病気を想定して、耳鼻科でできること、耳鼻科の範疇外の治療、というガイドラインを明確にくれる。とにかくいろんな検査、特にすぐ血液検査をしてくれるのがありがたいし、別の科の病院に行くときは「コレコレの数値がこう言う値でこの可能性を疑っていると言いなさい」と伝え漏れの起きない文句と検査結果の紙を授けてくれる。「病院に求めるもの=今後どうすりゃいいのという計画をくれること」である私にとってはパーフェクト存在なのだ。ただそれ故にめちゃくちゃ人気でかなり待つので余程のときにしか通わない。本日がそのよほどだった。

血液検査の結果は、ある炎症反応を示す値が異常値になっていて、先生曰く「棺桶に片足を突っ込んでいる状態」とのこと。「当院で出せる最も強い薬」を処方いただく。「金曜にもう一度採血で来てくれ。並ばずにすぐに窓口に行ってくれたら、すぐに検査するから」と特別扱いをしてくれた。それくらい重症ということかもしれない。

診断終わりに書店に行き、ミスチルのニューアルバム「miss you」を購入。早速ダウンロードして聞くと、事前にちら見せされていた楽曲の欠片が一つ一つ完成していき、その都度新鮮な驚きに包まれる。先行して配信されていた楽曲の一部分は良い意味でミスリードだった。そこだけ切り取ると、なんかあまり魅力的じゃないかもとすら思える曲もあった。ただ、隠されていた部分のピースとしてはめ込むと、めちゃくちゃ面白い曲ばかりだった。落ち着いたトーンの一部分かと思ったらめちゃくちゃ激しかったり、明るい曲かなと思ったらくそ暗かったり。なのにそのどれもが違和感なく溶け込んでいく。切り取られて公開されていた部分はサビの冒頭なのに、全体を聞くとむしろメロのような。いやでもサビだな。そんな不思議なバランスの曲がたくさん収録されている。桜井さんいたずらがすぎるよ。自分へのレクイエムとして聴き続けます。

妻がウェブ会議詰めでコープを受け取れないというので早めに帰宅。程なくして玄関のチャイムが鳴る。ふらふらと立ち上がり、応対しようとすると、我が家の前に配達のあったお母さんが「頼んでない商品が混ざってる」と配達員に伝えに来ていた。「あーすみません、すみません」と配達員は慌てふためき、本部らしきところに電話をしていた。扉を開けたときは微笑ましい一幕だなと思っていたが、電話がなかなか終わらない。ようやく終わったかと思うと、今度配達員がお母さんに懇切丁寧に説明している。結局代金は取らないが商品はプレゼントするというだけの話だったのだが、配達員の丁寧さというか慇懃さのどが過ぎていて、一つ一つのフェーズにやたら時間がかかる。イメージはもう中が配達員やってる感じ。そのコミカルさにお母さんも余計な合いの手や小話を入れてまた話を長引かせる。時間にして5分程度だったが、もっと早い段階で「すみません〜ちょっとこの後予定があるので、こちらの受け取りを先にやってもらってもいいですか?」的な適当なことを言って介入すればよかった。ピンポン前にワチャワチャやるのはいくらでもご自由にだが、ピンポンした以上は一旦こっちを優先してそれ以外を保留してほしいと申し出る権利はあるはず。こういうことの頭が回らない、自分を大切にされないことに慣れすぎている自分自身に嫌気の指す一幕だった。 

その後はいつも通り子どもを迎えにいき、夕飯を作り、食器を洗い、風呂に入れ、寝かしつけた。瀕死一歩手前のはずの私は、今熱があるのかどうかもよくわからない、かえって元気に動けるというバグ状態で日常をやり抜いた。もはや38度は平熱な感じ。誰も私が死んでもミスユーな感じはサラサラなく、お父さんが死んだらどうする〜とケタケタ笑いにしている。愛想笑いを返しながら、ミスチルへ片思いのmiss youを抱えて闘病を続けようと思う。