Takt op.(タクトオーパス)というアプリゲームが、先日リリースされた。
競走馬が女の子キャラになる時代なのだから世も末だ、もう何がコラボしても驚くことはない、と達観していた私の後頭部をかち割る衝撃作。擬人化されたのは、クラシック音楽の名曲だった。
キャラクターデザインがとてもお上品で、1発ノックアウト。テイルズオブシリーズヲタなら間違いなく陥落するクオリティ。私は即DL。
オープニングからまたすごい。中島美嘉の美声とともに画面中央に浮かび上がる主人公。
そして音楽記号をかたどったお洒落なロゴが中央に。
クリックするとノイズが走り、
暗転。
ハイ、オシャレー。
ここを見るためだけにDLしてほしいくらいの仕上がり。何度見てもうっとりする。ゲームを始めるたびに高揚感を与えてくれる。ここまで気合の入ったアプリゲームは今まで出会ってこなかったので、期待も一層高まる。
そこから先は、アプリゲーとしては割とオーソドックスなロープレ。キャラクターのガチャ、膨大な量のタスクと報酬漬け、そして覚えきるのが困難な種類の育成素材。しかし、キャラデザインが自分のツボど真ん中なのと、パズル謎解きのミニゲームがまたテイルズ魂をくすぐるので、なんやかんや毎日のタスクをセコセコとこなしている。
結果、無課金でもそれなりにレアキャラは揃ってきた。
レアキャラはワルキューレ、タイタン、シバの女王ベルキス、白鳥の湖あたり。今は幻想即興曲か四季・冬がほしいお年頃。それぞれのキャラクターを選ぶと曲が流れるのもいちいち楽しい。スマホゲームでBGMを楽しむ習慣はないのだけど、このゲームだけはイヤホン必須。曲を聴くためにゲームやってるようなもん。(ちなみに必殺技を出すとそれぞれの持ち曲がオーケストラバージョンとなってお届けされる。)
と、ここまでキャラクターと音楽の美しさ重視で推し進めてきて、戦闘システムを良く理解しないまま一週間が過ぎた。レアキャラを引き当てて、レベルをMAXにしてオート戦闘にしておけば負けないからだ。こうして魅力的だったはずのゲームがただの素材を集める作業ゲームの段階に突入した時、あ、これいつものパターンだなと感じた。アプリゲームはいつも、デザインや音楽に惹かれて始めるのだが、肝心のゲームそのものが単純作業と化した途端、プレイが苦痛に感じてくる。
そろそろ潮時かな、と思い始めた矢先、急に倒せないボスが現れた。こちらはそのボスを倒すのに推奨と表示されたレベルを超えているのに、全く刃が立たない。オートでだめなら手動だ、と切り替えてみても何一つ改善しない。というか、オート戦闘なら出ていた必殺技が出ない。ここに来てようやく戦闘システムの理解を進める必要を感じた。
早速攻略サイトを見ると、おすすめのパーティと攻略の手順が書かれていた。今まで見向きもしてこなかった低レアキャラが推奨されている。「このキャラのこの技で敵のこのステータスを下げろ」と書いてある。なるほど、今までダメージが与えられなかったのは敵の地の防御力のせいじゃなく、途中で発動した技によるステータス強化のせいだったのか。他にも、相手の隊列を変える技があったのだが、それをすると敵の攻撃ダメージが目減りし、それまで即死だったキャラが生き延びたりもした。
必殺技の発動条件についても今更理解することができた。ただ闇雲にタコ殴りしていてもだめだった。色付きの通常技を発動すると色ごとにポイントが溜まり、必殺技ごとに設定されたポイントの組み合わせ条件を満たすと発動が可能になる(赤3青1など。)効率よく色ポイントを溜めつつ、効果的に敵のステータスを下げる。その仕込みを十分にしたうえで、自分の狙ったタイミングで、発動させたいキャラの必殺技を決めたときの快感…私はこのゲームの魅力の半分くらいを損ねたプレイをしていた。戦闘システムの理解をしたうえで再戦すると、キャラのレベルは全く上がっていないのに今度はあっさりと倒すことができた。キャラクターの本来備えていた性能をまるで発揮できていなかったごめんね。
20体強のキャラクターそれぞれに複数の技と特性があり、戦略には無数の組み合わせがある。敵にもそれぞれ癖があるので、万能な最強パーティというものは存在しない。それ故、死にキャラが少ない。低レアキャラの使い所がかなりある。むしろレアキャラのほうが癖が強くて使いどころか少ないくらい。これを面倒くさいと取るかどうかはかなり評価の別れるところだけども、私は画期的だなと感じた。これから出てくるであろう新キャラは、旧キャラを凌駕するものではなく、むしろ陽の目の当たらなかったキャラクターの強みを引き出し、活躍の場を与え、新たな戦略を提案するものになると思う。
制作者の、一人ひとりのキャラクターへの愛を感じるゲーム。ぜひお試しあれ。