un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

ホウレンソウがない理由

新規事業の進捗について、社長が「俺はちっとも話聞いてないぞ」とご立腹である、という情報が飛び込んできた。事業の良し悪しは判断できないから特に応援も邪魔もしない、というスタンスだったので勝手にやっていたら、「公式の事業と認めていないのに、会社の名前を語って顧客と契約しやがって。ホウレンソウがちっともできてない」と側近の数名を怒鳴り散らしたらしい。顧客と契約といってもあくまでモニタリングに協力してくれる会社を見つけただけで、いわば試験的運用に過ぎない。それこそ良し悪しを判断するためには「試作品」を使ってもらうしかないだろう、とうんざりしていた。

とりあえず、電話でも一本入れておくかと思っていた今朝、掃除機をかけている際に妻から「洗濯機回すから先に洗面台をかけて」と言われた。はいはい、と洗面台から終わらせて次の部屋の掃除機がけに移っていると妻が戻ってきて、「終わったなら一声かけてくれても良くない」とご立腹。ほんの1、2分でかけ終わる面積しかないんだから、そんなわざわざ「終わりましたよ」と声がけするほどタイムラグないと思うけど‥ここでもまたホウレンソウのないことで人を怒らせてしまった。

どうも私はホウレンソウを重要視していないらしい。されて困ることはないが、別にされなくても構わない。必要な情報があって、それがあらかじめ知らされてなければ、自分から聞きにいけばいいじゃんと思っている。自分から状況や進捗を確認しに行き、わからなかったら頭を下げて教えてもらう、ということに憤りを感じることはない。

しかし、ホウレンソウの価値を重んじる人(妻や社長)は、周囲が当然自分のために必要な情報を逐一知らせてくれるものだと信じて疑わない。そしてそれを求めない私は、そんなに人に大切にされてこなかったから、大切にされないことに対して慣れ過ぎている。そしてそれは人を大切にする仕方がわからないということでもあるから重症だ、とのこと。人はもっと人から大切にされたいし、大切にしたいのだ。どうも私は人の心を失って久しいようだ。

社長に電話を入れてみると、前情報の割に怒った様子はなく、こちらから電話をかけてきて低姿勢であること自体に満足しているみたいだった。ホウレンソウされる内容には興味がなく、「あなたは私からホウレンソウをするべき相手と認識していますよ」というメッセージを受け取りたかっただけなのだ。
「これはこんな懸念がある」「ここはこうすべきだと思う」と、事業の詳細について意見をいただいた。丁重に受け止めつつ、全て既に想定済みの対処済みなので、あまり神経を逆撫でしないよう気をつけて、このような手立てで進めております、とお伝えした。あんたが数分考えただけで出てくるような思いつきは全部考えてるのよ、あんた以外のいろんな人から知見集めて作り上げてるから、もう大概思いつく懸念点は潰しきってる。こっちだって馬鹿じゃないんだ。やりたいという気持ちの一本槍で商売として成立しない条件や仕組みで暴走するわけには行かない。だから事業を成功させるために必要な人材についてはしつこい程ホウレンソウを繰り返している。私、ホウレンソウできるんです。社長がホウレンソウされないのは、したところで事業に得られるものがないからだろう。
私の事業を心配して釘を刺すくらいなら社長肝入りプロジェクトが全件大炎上している件をどうにかしてくれ。アンタこそ現場にホウレンソウしないで勝手に進めるから顧客のニーズとピントがおおずれのグロテスクな商材を大量発生させてますよ。

ということで、ホウレンソウがないと嘆く方は、ホウレンソウされないことに腹を立てる前に、まずご自身がホウレンソウされるに値する存在として認識されらだけの価値をもたらしているか、虚心坦懐に我が身を振り返ってください。妻ですか?妻にはもちろんホウレンソウしますよ。