un deux droit

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怒りのポイント

「はぁ~、つつがなく休日が終わった」と安堵して、2階の寝室で次女を寝かしつけていると、1階の風呂場から妻の怒声が聞こえてくる。どうも、一緒に風呂に入っていた長女が妻の逆鱗に触れる何かをしたらしい。

内容はうまく聞き取れないが、これは1時間説教コースだなとうんざりした気持ちで次女に添い寝。「おかあさんまたおこってる」と次女は呆れた様子で、意に介さず就寝。私はまだ風呂に入ってなかったのでさっさと風呂を済ませたかったのだが、風呂場が戦場になっているので立ち入る訳にはいかない。妻は割って入って仲裁されるのを死ぬほど嫌うし、かといって素知らぬ顔で素通りして風呂に入れば他人事かよととばっちりを食らう。つまり妻の気がおさまるまでこのまま塩漬け。ほんとろくでもない。

約1時間後、長女がメソメソしながら2階に上がってきて力なくベッドに潜り込んだ。妻がリビングの扉を開けた音がしたので、タイミングはここだと意を決して1階のリビングへと降りていき、何食わぬ顔で努めて冷静に「何があったの」と妻の様子をうかがう。

妻は取り繕うように笑顔で事情を明かす。要点をかいつまむと、「先生はこう言ってたよ」という言い方で、長女が妻のアドバイスに反論したのが気に食わなかったらしい。

親の私より先生の意見を優先するのか。先生は一般論、原則論しか言わない。それを鵜呑みにしてたら生活できない。大人は原則を理解した上で、どこまで原則に忠実に沿うか、塩梅を見計らっている。それは原則を知らないということてはない。だから子どもから原則論をいちいち説かれたくはない。馬鹿にするな。そんなことを長女に言ったようだ。

なるほどね、そういう観点は自分はなかった、自分は先生がこう言ってたって言われたらすぐ影響受けてうろたえちゃうから。日本人はお上がこうだと言ったものに流されがちだからね、と感想を伝えると、私も娘も純日本人的だということねと納得した様子だったので、話を切り上げて長女の元へ向かう。

長女はまだ泣きべそをかいていたので、頭を撫でてやり、「なにか言いたいこと、聞いてほしいことはある?」と声をかける。私は妻がひどいと思っているが、あまり長女の方を持ちすぎると新たな火種になるのであくまでも中立的に。長女は「今は眠い」と言うので、「なにか聞いて欲しい気持ちがあったらいつでも言ってね」と伝えて部屋を去った。長女は少し落ち着いた様子だった。

妻の言うように、自立して自分で何でも判断し、大人や権威の言うことに安易に影響を受けないことはたしかに大切なことだと思う。だけどだからといってそんなにブチ切れないで、ただ淡々と、私は先生と違う意見だよ、と子どもに伝えるだけで良かったのではと思う。人が怒るポイントというのは本当によくわからない。とりあえず長女にはこんなお母さんでごめんと心のなかで申し訳なく思っている。