『罪の轍』以来の奥田英朗。リバーというタイトル、続いて、帯にある「渡良瀬川」のキーワードで、数年前にブームになった文庫Xの存在を思い出した人は少なくないはずだ。今回は未解決事件、北関東連続幼女誘拐殺人事件を下敷きにしたフィクションである。『罪の轍』は描く時代も事件当時になぞらえているが、本作は現代にスライドさせて描きなおしているので創作の部分が多く、当然、文庫Xで暴かれた筋書きとも大きく異なる。なので、文庫Xを読んで事件についての基礎知識を得た上で読むととても面白く読めると思う。
未解決になる事件というのは、しばしば、真実が思いのほかすっきりせず、因果関係が単線で直列なんてことはあるわけもなく、歯切れの悪いものであるためにおこるのだなぁ、という感想。あからさまな悪者がすべての元凶で、こいつさえお縄にかければすべてが解決する、というものばかりではない、ということ。そういう意味において、コナン君の「真実はいつも一つ！」という決めゼリフは少年漫画の世界にしか通用しない。
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