un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

買ったゆえに勝った

今年は経営陣から売られた喧嘩を買った。

un-deux-droit.hatenablog.com

昨年の評価面談では、新商品開発を行い、新たな販路も拡大し、営業体制の効率化も行ったのに、評価はS〜Dまである中でB(普通)だった。難度や新規性、将来性、顧客にとっての価値、他営業への波及効果などを算定する項目でいくら点を稼いでも、実は大勢に影響がないことが判明した。評価面談の数ヶ月前から次年度の組織運営の構成が決まり、そこにあてがう人員も決まり、その策と帳尻が合うように評価を調整していたのだ。つまり経営陣が登用したい人間が最高評価を昇格を得るという清々しいほどの出来レース。目標管理を考案したドラッガーもびっくりである。
昇格に値する仕事をした人間を昇格に値しないとするための説明と、昇格に値する仕事をしていない人間を昇格に値するとするための説明とを隣に並べて比較すると論理的に破綻していた。ある人間の昇格に値しない理由として並べた事項があり、その項目で前者より下回る成果しか挙げていない人間の昇格の理由がまさにその事項だったりして、時空が歪んでいるのかと思った。昇格を得られなかった人は期の早い段階で退職していった。私は子育て真っ盛りで転職する余力がなかったので、今期は経営施策を徹底して無視するという選択をした。
目標の売上だけは達成しつつ、参加する価値を感じない会議はとことん架空のアポをぶつけて不参加とし、営業のキャンペーンには全く協力せず、大幅に浮いた就業時間を読書やランニング、新規事業の構想などに費やした。読書の内容が仕事に活き、体力の増強が集中力を高め、仕事の成果がますます上がるという笑える好循環が生まれ、1日8時間拘束の無意味さを体感した。
評価を怖れなくなったので、発言も躊躇しなくなった。相手の立場が何であれ、筋の通らない行動を強行してくる輩には「またまたご冗談を」と余裕綽々の態度で全否定して回った。本気じゃないですよね、そこまで愚かじゃないですよね、とひろゆき氏風にヘラヘラした態度でいなすと、全てのケースで「いやいや、ちょっと言ってみただけさ」と撤退してくれた。あなたも私も無理筋だと認識していることを明るみにされてなお、ゴリ押ししてくる面の皮の厚さを持つ人間はいなかった。
そうやって、メンバーシップ型の慣習をことごとく蹴飛ばして歩き、ジョブ型の成果捻出にのみ行動を純化させるというのが今年の私なりの喧嘩の買い方。その何よりの報酬は、時間投下に関するオーナーシップの奪取だろう。今年は本当に自分の時間を生きている実感を持てた。働かされたいのではなく、自分の意志で能動的に働いている感覚を常に持てた。私は拘束されていないのに、会社は私の正社員の身分保証と給与と社会保険料の支払いに拘束されている。なんとも痛快ではないか。
人事評価こそが従業員を意のままに操るための首輪でありニンジンだった。だからその運用はもっと誠実に行い、信憑性を疑われるような事例を作ってはいけなかったのだ。人事評価の運用をちょろまかすと従業員の従順さを損なう。そのことの損失の大きさを経営が自覚するくらいまでは、仲間を増やして面従腹背のゲリラ活動を続けようと思う。どうやら私一人が工作しなくても、各部署で同時多発的に社員の不服従による経営施策の空転が発生しており、それでいて業務に支障がないという経営施策の無意味さを暴露する事態が確認できている。経営メンバーの幾人かがこちらに秋波を送ってきているので、来期に適正な処遇を勝ち取る可能性が出てきたように思う。しかしもう私はこの時間の自由度の味を知ってしまったので、もう従順な頃の私には戻れないよ。


と、「そういう意味じゃねぇ」という話を書いたので、本当に購入して良かったものをひとつだけ。全然面白くないけどモバイルバッテリー。
f:id:un-deux-droit:20211229222608j:plainコンセント探し回らなくて良いというのがこんなに快適だとは。営業業務の大半がiPhoneで完結しているのでほぼ毎日使ってる。

今週のお題「買ってよかった2021」