un deux droit

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松本若菜に出会えてよかった

私は美人×変人という属性を持つ女性を魅力に感じる変な習性がある。

初恋の人はピアノを弾くときに、なにかに取り憑かれたように髪を振り乱して、情熱的な演奏をする姿に一目惚れした。普段おしとやかにしているのに、内心にこれほどのマグマを秘めているのか、とそのギャップにドキドキした。そしてその魅力に自分だけが気づいているという特別感がたまらなく好きだった。みんなは裏表のなくわかりやすいアイドルみたいな女の子に熱を上げるけど、お前らほんとにお子様だな、もっと複雑な味わいを楽しもうと思わんかね、と玄人ぶった生意気なガキだった。

その後も、劇団で主演を張って高校生離れした狂気の演技をする子と付き合ったり、HUNTER×HUNTERのビスケくらいバキバキに鍛えたインハイに出るレベルのアスリートと付き合ったり、メイドカフェでコスプレイヤーとして地下活動をしてたりと、美人は美人だけど色物というか、ちょっと突き抜けちゃってる、少し周りから浮いてるイタさがほんのりある感じの女性ばかり追いかけていた。

美人だけど〇〇。その美貌が相殺されてしまうファクターこそがその人の唯一無二の人間的魅力で、そのファクター単体で見たときには人を熱狂させるパワーがある。ジャンルは違えど皆ある種のエンターテイナーたる要素を持っていて、その美貌を武器にせず、むしろ台無しにしてでも人を楽しませることを優先する気前の良さに惚れていたのだと思う。


松本若菜という女優は、私にとってまさにそのようなエンターテイナーだった。『やんごとなき一族』では、よくそんな歪んだ憎たらしい表情がバリエーション豊かに次から次へと繰り出せるな、と衝撃を受けた。百面相とはこのことかと思う。女優というよりも芸人の域。ドラマ終盤まで、あれこの人実はめちゃ美人じゃね、と気づかなかったくらいだ。めちゃ美人だと気づいてから、更にエスカレートする変顔のクオリティに腹がよじれた。このお顔がここまで崩れるか、どこまで躊躇ないんだと手を叩いた。そして不意に素顔に戻るシーンのあまりの美しさに完全に心を掴まれた。もう、美保子を見るためにドラマを見ていた。

女優としては少し鼻にかかったような、くぐもった声質も、ダダダっと抑揚なく畳み掛けるような発音も、変に垢抜けてなくてまた良い。そしてとどめの鳥取出身。好感度しかない。

その後も出演するドラマを追っかけているが、真面目な役をやっているのを見ると吹き出しそうになる。本人も笑いを堪えるのに必死なんじゃないかと思う。どれだけ緊迫したシーンを演じ切っても、カットした瞬間にあの変顔で共演者を笑かしてるんだろなと勝手に想像している。カットから5秒後までの彼女を目の前で見れる制作陣を羨ましく思う。またあの驚きを味わいたくて、私はこれからも彼女の作品を見続ける。





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