un deux droit

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蛮勇

会社のteamsで、会長とのランチ会を設定するよう全社員に通達があった。どんなことでも会長に直接言える、という触れ込みの、さも現場思いの経営者が下々の陳情に耳を傾けて「あげる」という温情主義丸出しのクソ企画だ。

松下幸之助だか稲盛和夫だがを真似しているつもりかどうかは知らないが、正直言って格落ちも甚だしい。ただお前と話すことそのものがウレピーなんて思うほど好かれても尊敬されてもないから。第一「現場主義」というのは工場経営の考え方であって、現場なるものがかくも細分化され、バーチャル化された当社において、ちょっと支店を回ったくらいで「現場」をわかった気になってもらってはたまらない。

そもそもみんな普段から直接クソミソ言いたい放題言いまくってるのに、いつまで経っても何一つ採用しないくせに、なぜ一緒に飯食っただけで素直に耳を傾けるマインドセットになるというのか。いや、ならない。他人の言葉をその言葉の通りに歪みなく解釈する脳の機能がズタズタに破壊されているというのに、一体どのツラ下げてやってくるというのか。

1番ムカつくのはそのランチ代が会社経費だということ。会長、お前がどうしてもやりたいとごねて現場に無理強いしているというのにさらに会社の経費でタダ飯を貪り続けるなんて信じがたい。100人の会社をだいたい4人ずつに分けて開催するつまりらしいがそれだと単純計算で25回タダ飯を食えることになる。一回上限3000円と無駄に太っ腹だが、会長は75000円分を会社経費につけてメシを食うことになる。許せねえ。社員分含め全部会長の自腹で、交通費も自腹だろ。そうまでしてまでみんなと話したいのだ、という熱意を見せてくれるなら会ってやらないでもない。だいたい50万くらいだ。それくらいポケットマネーで出せるくらい報酬がめてるだろ。社員が額に汗して稼いだ利益をこれ以上私物化するな。

そんな憤りを腹に抱えてモヤモヤしていたらteamsから一通の通知が。社員全員が見れる雑談スレッドに1人の中年社員が書き込んだのだ。

「誰も望んでないし喜んでもないことにまた無駄に経費使うんですか。無礼講というのならこんなしょうもないランチを待たずに、会長はいつ退任されるおつもりですか、と今聞きたい」




大爆弾。


自分がモヤモヤしながら何一つ行動をしなかったことを1人恥じる。書き込みは15時ごろだが殺傷能力強過ぎて22時時点で誰も反応できていない。会長も間違いなく見ているはずだがこのまま黙殺する気か。それとも本当に死んでしまったのか。いずれにせよこんな真正面から唾を吐かれた間抜け面をぶら下げたままの会長と、何事もなかったかのようにランチに興ずるなんてもはやできない雰囲気になってしまった。

会長本人が怒ると死ぬほどダサいし、素直に受け止めたら開催中止になっちゃうから会長としては動けない。取り巻きの小判鮫役員も、変にフォローするとかえって会長に惨めな思いをさせるのでダンマリを決め込んでいる。効果はバツグンだ。私はなんだかんだ今のポジションにしがみついていたいので、保身に走って静観している。自分は勇者を見殺しにする。その意気地の無さを忘れないためにここに記しておく。