un deux droit

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鰯の頭もなんとやら

既存顧客対応ラッシュに余裕ができ、約3ヶ月ぶりに新規・休眠顧客へテレアポをかけた。するとテレアポだけで次の仕事が3件ほど簡単に取れ、予算達成の足しになった。しばらく放置すると勝手に実る穂もあるようだ。

納品に向けた事務処理をしていると知らない番号から電話が。取ると午前中に電話した客のうちの1人だった。
「今あんどうさんの事務所近くにいるんですが、会えたりします?」
「会えますけど、フツーに普段着なんですけどいいすか」
対面営業する予定がなく余裕ぶっこいてTシャツ短パンでいたら、そんな姿で名刺交換するハメになった。

「着きました」という電話で入口に向かうと先方は3人。窓口担当の上司と部下まで引き連れている。いよいよ小っ恥ずかしい。サンダルで来なかったことだけが救い。

先方は私のいでたちに構うどころかむしろ鼻息荒く前のめりに、
「いつも広報誌読んでます、あんどうさんの流してくれる情報は本当に勉強になっているんですよ」
「〇〇の提言のところ、早速次の施策に入れたんです」
「あんどうさんの書いている通りに部署のビジョンを変えました」
と私が顧客向けの広報誌に執筆したコラムや特集のことについて言及してきた。ほんまかいな。そんな熱烈ファンが自分にいるとは知らなかった。ほとんど誰も読んでないと高を括って好き勝手書いていたら、内容を鵜呑みにしてくれる人がいたのだ。もちろん内容は本気で書いているし自信もある。とはいえそう簡単に人の心を打ち、行動を変えることに繋がるなんてことを信じるほど世の中は甘くないとも思っていた。しかし約3000顧客のうちの1社が実際にこうやってわざわざ挨拶に来た。なかなかこれは凄いことだと思う。

営業活動をろくにしていないからスーツを着ていないこの体たらくぶりも、会社経費が惜しいから引っ越してきたこのレンタルオフィスも、信者からすればむしろ今風でイケてるようで、しきりに感心していた。単なる怠惰と吝嗇に過ぎないこの有様を「やはり能率が違いますか」と勝手に納得している先方に、顔を赤めながら頷き、話を合わせた。とにかく仕事をくれるというのだからありがたく受け取っておこう。