un deux droit

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美醜と良縁の因果関係のなさ

年度末の営業オフサイトミーティング。ブレイクアウトルームで一年先輩の女性♀と同じチームになった。
この女性、ごく個人的な理由で接触を控えていた。その行き所のないモヤモヤをブログに吐き出す。


一つ上の代は5人女性がいて、いつもレゴフレンズみたいにわちゃわちゃと仲良くつるんでいた。他の4人は皆一様に小柄で地味な野暮ったい感じのなか、その先輩は一人すらっと背が高く、アナウンサーのようによく通る声で、華があった。よくアヤパンみたいだね、とお客さんから言われていた。中学バスケ部、高校放送部、大学では学祭の事務局という爽やかな経歴を引っ提げて、営業の第一線で活躍し続けてきた。いつでも快活で、弾ける笑顔。上品な身なりと洗練された佇まい。献身的な性格で纏う雰囲気は小動物系の美人、といった感じなのだが、よくよく凝視すると全然可愛くない、というなんとも奇妙な女性だった。

私はいつも彼女を見ると脳の情報処理が混乱して直視できないという症状に一人勝手に見舞われていた。目の焦点が合わない。目の前の人物を統合した一つの存在として認識できない。持ち合わせのカテゴリーに分類できないエラーデータ。結果、その人と仕事で一緒になるとどうも居心地が悪くて仕方がなく、やんわりと避けてしまっている。

世の男性も同じことを思うのか、彼女は30も半ばを過ぎた今も良縁に恵まれないでいる。同期の野暮ったい4人は早々に結婚を決め、それぞれ子宝に恵まれて幸せな家庭を築いている。容姿が今ひとつであっても、キャラクターに一貫性があると愛嬌となり、安心感や居心地の良さが生まれてその人特有の魅力となる。向き合い方が定まり、気のおけない関係を結びやすい。不思議なもんで、その4人は結婚するまで男を切らしたことがない。なぜかモテる。でもなんとなく納得してしまう気安さがあった。

ところが冒頭の彼女はどのような扱いをすれば収まりが良いのか定まらず、どうも剣呑な雰囲気になってしまう。美人キャラにすると小馬鹿にした感じになり、かといって不細工キャラだと傷つきそう。拭えない緊張感。やはり正面から向き合えない。そんな狼狽を10年以上も感じ続けているのだ。


今日の彼女はレンズのでかいメガネをかけて、ちゃんと最近のトレンドをしっかりと押さえて、リラックスした大人の女性を演じていた。それがまた一段と悲壮感を増幅させていた。うーん、似合っているのに、シンプルに可愛くない。また脳がバグる。


「私、今年は婚活しようと思うんだ。」

どう返せばいいんすか。これ。聞いちゃった以上、来年成果出てなかったらもういよいよあわせる顔がない。そして多分その可能性が高い。

「いいですねー、一緒にやりましょうよー」

私が逡巡している間を埋めるように、入社2年目の女性が助け舟。ありがとう。でも君はすぐマッチングすると思うよ。あの4人と同じで、自分の戦い方がわかってる気がするから。

結ばれることを求めているのに、誰とも結ばれないという運命を抱えて生きることの残酷さに思いを馳せる夜。