un deux droit

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女性は十分活躍している

今朝、保育園に登園すると、長女の同級生のお母さんとすれ違った。マスク越しにでもわかるほど顔面蒼白で、眼の下のクマが尋常ではなかった。こちらのご家庭は半年ほど前に第2子が生まれており、「あぁ、、ちょうど夜泣きで徹夜の時期だな」と察した。ご愁傷様です。この家庭の父親は保育参観のときにしか見たことがない。私は長女次女ともに、ミルクと哺乳瓶片手に夜泣き時期の担当を完遂した経験があるので、あの地獄の日々の苛烈さは思い出すだけで吐き気がする。深夜3時頃、1時間近く抱っこしても一向に泣き止まない赤ん坊を抱えてベランダに佇んでいるとき、しびれる腕の痛みと朦朧とした意識の中で、「あぁ、これは衝動的にベランダから我が子を投げ捨ててしまうかもしれないな」と人外の境界線に足をかけていたことを思い出す。家庭によって色々事情はあるのだろうし、私のように夜泣き担当を完全に男性がやり遂げろとまでは言わないけれど、せめて送り迎えくらい担当してあげられないのだろうか…なんで家庭のこと何一つやらないくせに、子作りだけは旺盛にできるのかは永遠の謎である。


昨日は会社の後輩の女性からこれからのキャリアについて相談を受けていた。都心に会社があり、在宅勤務に否定的な風土で、子どもを育てながら営業業務を続けていくことに辛さを感じている。もともと人事系の仕事に行きたかったので、そのようなキャリア申告シートを提出したら、「営業辛い」+「人事系」がたし合わさって、なぜか請求書類関係の内勤の部署に飛ばされて「コレジャナイ感」に苦しむことになった、という話。なぜ子育てが大変だとこぼすと、途端に「温情」のつもりで価値の低い仕事に自動輸送されるのか。総務系の部署は育休明けの女性の巣窟で、ある種の「女性版・追い出し部屋」のようになっている。たしかに楽だけど、成長もなく、今後のステップアップもない。「転職もしたいけれど、転職できるだけの経験もまだ積めていないし、何よりお腹に第2子がいる…」おお…なかなかの詰み具合。女性は子育てに勤しむべしというパターナリズム丸出しの会社のため、育休のとりやすさについては当社は抜群である。アドバイスとしては、とりあえずこの環境は利用しつくす。復帰後には転職を前提とし、彼女の希望する転職に有利になりそうな業務経験のうち、この会社で手を出しやすそうなものと、そのポジションを得るための立ち回り方などをレクチャーした。彼女的には展望が開けて気持ちがスッキリしたようで、大変感謝された。でもとりあえず夫よ、子作りするなよ…とは思った。


男性でありながら、いわゆる家事育児にフルコミットする、いわゆる「女性」的な制約にどっぷり使った生活をしていると、日本の女性大変すぎじゃない?と思う。本業の営業活動で「女性活躍推進」の取り組みについて未だに相談が来るのだが、いや、女性は十分活躍してるでしょ…と思う。なんで今より待遇が良くなるために、さらに「活躍」を迫られるのよ。これ以上何を女性から搾取したいのよ。必要なのはより活躍できる場ではない。活躍と対価の交換レートの是正だよ。今のままの活躍でもっと評価されたり感謝されたりするべきなんだよ。十分パフォーマンス出しているのに、保育園の送り迎えの制約のせいで「時短」を選び、賃金カットされてるのとかおかしいでしょ。これだけ業務効率化しているのに、なんで8時間労働前提なのよ。いつの時代の生産効率前提の法律だよ。女性が短時間なんじゃなくて男性が長時間なの。10時16時で休憩1時間の5時間勤務とかでなんとかなる仕事いっぱいあるよ。それを正社員の待遇と設定し直して同じ給料払えよ。そしたら送り迎えであんな大変な思いせずにゆったりと仕事ができ、延長保育なんかもいらなくなる。子どもと離れる時間はもっと短くしたほうがいい。


それでいったら活躍が必要なのは「男性」のほうじゃねーの?もっと家事を覚えろ、早く帰ってこれるように効率化しろ、無駄に組織の上の方を牛耳っているジジイどもは、早く帰れるように就業規則を考え直せ。ということで「男性活躍推進法」の制定、たのんます。正式名称は「男性の家庭生活における活躍の推進に関する法律」です。すべての男性が職場「以外」で輝く社会づくり、ぜひともやっていきましょう。