un deux droit

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人生の終着点に相応しい絶景

行ってみたいところなら山ほどあるが、住んでみたいとなると難しい。長期間住むとなると加点の多さより減点の少なさが大切になる。そして飽きの来ないことも重要だ。飽きないというのは多様な楽しみ方があることと、変化に富んでいることが大切である。

日本国内においては今住んでいる福岡に勝る土地はないと思っている。肉、野菜、魚全部うまいし、山も海も都会も田舎も全てある。安くて品がいい。少し足を伸ばせば観光地にも事欠かない。美しい女性は誇張なしで溢れている。美貌が武器にならないのか、なんでこんなに綺麗な人がこんなところで仕事してんの?と驚くことが多々ある。美貌を無駄遣いする気前の良さがまた魅力的である。新しい物好きでどんどんいろんな文化が登場する。先人が既得権益にしがみついて街を牛耳るのではなく、後進にどんどんステージを譲って新進気鋭の若手を快く活躍させる風土も良い。治安は悪くない。なので、他に住みたい場所はない。


というわけで海外に目を転じると、1箇所だけ思い当たる土地がある。スイスのサンモリッツだ。ここは人生の最期に来たかった。ロープウェイで街から離れ、小高い丘からサンモリッツ湖を眼下に眺めると、そこは音が凍ってしまったかのような静謐な空間だった。半分天に召されたような不思議な心地がした。あの丘で佇んでいた私が、人生でもっとも心の清い瞬間だった。あとはドブみたいなもん。
マッターホルンを眺めて過ごすツェルマットも捨て難いけど、荘厳さの点でサンモリッツが僅差ながら上回った感じ。いずれにせよスイスは全般的に素敵。ただし、金に糸目をつけず食事に飽きず言語の壁を無視できる、という条件付きだけど。