un deux droit

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【書評】三体0 球状閃電


三体シリーズはもうおなか一杯かなと思って読むのを避けていたのだが、劉 慈欣の世界観に浸るおクスリが切れてきたので、結局充填。

厳密には三体と無関係の本作だが、本作単体として十分面白かった。球状の雷の正体は何なのか。そしてそれはどのようにして発生させることができるのか。謎が解けたときの爽快感と、これまでの世界の前提が土台から崩れる気持ち悪さの見事な同居が劉 慈欣 作品の魅力。人間が認知できるものの限界。そして、認知できるものの中から導かれた物理法則などこんなにちっぽけなことなのか、あるいは真理からこれほどまで遠いのかという絶望感がたまらない。ちなみに、本作では幽霊の正体についての魅力的な仮説が描かれている。あの世とか、神とか、三次元の世界で認知できないだけで実在していてもおかしくないとすら思えてくる。

三体また読み直そうかな。。