un deux droit

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お金を溺愛する人種

午前中、休みをとって妻とFPに家計診断してもらった。妻がしっかり稼ぎ、堅実に資産運用しているおかげで、ローンを組んで家を建てても路頭に迷うことはないだろう、というシミュレーションをもらった。
その後は延々と資産運用の話。妻が今かけている保険や運用している投資先など総ざらいで見直し。この人いくら持ってるんだろうと隣に座るパートナーを横目に、スマホをいじる。妻とFPの白熱する議論は2時間に亘り、結論は2週間後に持ち越しとなった。

私は一つ誤解していたことがある。
お金を扱う仕事を生業にする人々のことを、私は心のどこかでケチで強欲な守銭奴とみなしていた。
それは父親が私に対し「金貸しだけにはなるな」と金融業全般に対する嫌悪感を隠さなかったことの名残りなのかもしれない。
確かに父親はバブルとバブル崩壊の時代を社会人としてまともに体験し、踊らされて身を持ち崩す知人を数多く見てきただろうから、マネーゲームがいかに愚かしいことかというのが身に沁みているのだと思う。

しかし今日出会ったFPは、清潔感こそあれとても質素な身なりで、羽振りの良さをひけらかして金銭欲をくすぐるような真似はしなかった。彼が輝かせる瞳の奥にはお金に対する畏敬の念と底知れぬ愛情を感じ取った。お金の価値を理解せずに粗末に扱う行為をお金に対する虐待とみなし、預金口座に塩漬けにする行為をお金に対する監禁とみなしている。彼のお金に対峙する様はまるで我が子かのようだ。様々な経験を積ませ、時に傷つき苦しむことがあっても見放さず、愛でて愛でて手塩にかけて育て、やがて大きく成長するさまを微笑ましく見守っている。
私はこれを拝金主義だと切り捨てるのはちょっと違うかなと思った。製造業のおじさんが自社製品を我が子のように誇りを持ち慈しむメカニズムとさして変わらない。単なる交換手段にそこまで思い入れを持てるのも変わっているなと思うけれど、私はその直向きな姿勢に好感を持った。反対に向こうは私に対し軽侮の態度を隠さず努めて冷淡な態度だったのだが。顧客に対し節を曲げないその意気やなお良し。次回以降は妻だけに行ってもらおう。