un deux droit

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恥部の博覧会と化したオリンピック

いよいよ本当にオリンピックやる気なんだな。止まらない新型コロナウイルス感染者の増加、次々と噴出する五輪関係者のスキャンダル、関係者による暴行や薬物使用などの犯罪の横行、大規模な交通規制による市民生活の麻痺、チケット購入者の情報漏洩や抜け穴ばかりの感染対策などあまりにお粗末な運営、そして案の定の猛暑…。始まる前からここまで何一つうまくいかないイベントがあるだろうかと感心すらする。冷静になって立ち止まるチャンスはいくらでもあったのに「今更引っ込みがつかない」というたった一つの理由だけで暴走を続けている政府の様子を唖然と眺めている。そしてこうなったらもはや市民の力では止められず、ただただ破局を傍観するしかない無力さを覚える。オリンピックという舞台を通じて全世界の皆様に日本という国の狂いっぷりを余すところなくご覧いただくよりほかない。

今日本に生きる人々はWWⅡの時代の日本を笑えない。過去の教訓があり、大本営以外の情報を入手できる環境があり、非人道的な抑圧にさらされていないのにも関わらず、それは流石におかしいんじゃないかと具体的な抑止行動をついぞ取らなかった。わざわざ市民がブレーキをかけなくても自重するよね、あるいは統治機構の抑止がかかるよねといった自浄作用の働きへの盲目的な信頼があったわけだが、権力を集中させすぎて捕まえる人と捕まる人、辞めさせる人と辞めるべき人が同一人物になってしまった。
それでも最後は統治者に一粒の良心さえあればここまでのディストピアは訪れなかったと思うが、それは人間というものの愚かさを過小評価していたというより他ない。あれほど非論理的な答弁を公然と繰り返していたら自分だと恥ずかしくて精神崩壊してしまうと思うが、残念ながら自己矛盾になんの痛痒も感じない猛者がゴロゴロいるということは「マッカーシズム」を読めば書いてある。これまでの相場だと余裕で投獄、あるいは失脚しているべき人達が平気で権力の座に居座り続けているのだから、もう腐敗できるところまで行き尽くすしかない。官僚の給付金詐欺のような事件や、入管の非人道的対応のような統治機構の劣化を現す情けない事象はまだまだ出てくるだろう。

オリンピックは文字通りここからが本番なわけで、桁違いの感染爆発、見るに耐えない開閉会式の演出、前代未聞の競技運営の不手際、国際大会とは言い難いレベルの競技レベル、といった悲惨なニュースが飛び込んでくる覚悟をしておかねばならない。せめて想像できる範囲の悲惨さであってほしいと願うばかりだ。