un deux droit

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大麻問題で透けて見えるダブルスタンダード

伊勢谷友介さんが大麻所持で逮捕された件で、捕まる前の様々な映像がワイドショーで流れていたのだが、極めて正常で所作の美しい印象を受けた。大麻の所持は法律で禁じられているから悪い、という当然の前提は一旦脇に置いて、本当に大麻は法律で取り締まるほど有害なのか、シンプルに疑問に感じてしまった。
タバコや酒と比して、中毒性や常用することでの健康被害、他人へ間接的に及ぼす可能性のある悪影響にそれほど差があるのだろうか。私はタバコはやったことがなくお酒のみ以前経験があるが、飲酒による思考力の低下、感情コントロールの効かなさ、身体運用の困難さは異常だ。単に多くの人が飲酒経験あるいは飲酒の場にいた経験を共有しているというだけで異常性について不問とされているけれど起きている事象は集団で薬物摂取しているのとさほど変わらないのではないかと思う。それでいて翌日には多少の体調不良はあれど、概ね身体機能や思考能力、情動の制御などは回復しており、何食わぬ顔で社会に復帰できる。伊勢谷さんだって大麻を使用した翌日に平然とした顔で舞台挨拶をこなした日もあったろう。翌日の仕事に影響でない程度にコントロールしようとする様なんかはまさに飲酒行為とシンクロする。
暴力性が問題ならば飲酒だって規制すべきだし、運転が危険になるなら道交法で対処すべきだし、受動喫煙が害ならタバコ同様に場所をわければ良いし、脳の成長に有害ならば年齢で区切れば良い。酒とタバコだけあんなにも様々な問題や弊害に個別に対応してまでそのものを禁じることだけはしないくせに、大麻はハナから門前払いなのはバランスに著しく欠ける。大麻についての問題点はことごとく酒もしくはタバコと重複するので、本来ならば大麻を禁ずるならば酒たばこも禁じなければ辻褄が合わない。
日本という国は何かにつけて、一旦社会に浸透してしまったものに対しての規制はゆるゆるなくせに、新参者に対してはガチガチの規制で固めるあたり、つくづく既得権益に甘い。どんな分野においても公平な基準を用いず、どこまで行っても「内輪」と「余所者」の二分法なのだ。
とりあえず法律は変えなくていいので、飲酒喫煙は薬物摂取という認識に立っていただき、仄暗い部屋で後ろめたくコソコソと召し上がっていただきたい。あんなに我が物顔で堂々と摂取できる代物ではないという社会通念が遠くない将来確立することを願うばかりだ。