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【書評】江森敬治『秋篠宮』


本屋で平積みされていたので手に取る。複数のインタビューから垣間見える秋篠宮の人となり、抱える苦悩や葛藤に思いを馳せる内容。本人の独白が少なく、やや冗長な筆者の自分語りが多いが、皇族制度の価値と制度疲労を起こしている部分についての基礎知識が得られるかと。
人間として生きる苦労と、その喜びは背中合わせである。苦労を丸ごと免除されている代わりに、人生の楽しさも相当程度奪われている。それを自らの力で変える権利を有していない、という意味においては相当程度に人権侵害である。
天皇家の人間が何かしらの犯罪行為をおこなったとして、それを裁く機関は存在しない。国民ではないから。変な話「捕まる権利」すらない。わかるよね、という圧力のもと、一定の範囲から逸脱しないよう日々を過ごさなければならないことが生まれながらに決まっている。グレーゾーンのない人生というのはどれほど息苦しいだろう、と暗澹たる気持ちになる。