un deux droit

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浜辺美波の不思議な魅力


君の膵臓を食べたい 実写版

最近、北村匠海にハマり始めていて、今更視聴。
そしたら浜辺美波の方に視線を奪われてしまった。
最初は何だこのポンコツな芝居は?と違和感が拭えなかったが、ずっとその違和感に晒されていると、それが役柄である、「不治の病に侵された人間のぎこちない気丈さ」にも見えてきて、中盤では違和感がなくなり、終盤では愛おしくも思えてくるようになった。この絶妙な芋っぽさが人気なんだろうと納得。北村匠海は無感情から徐々に感情を解放し、最後の涙までの駆け上がり方が天才的。福岡の描写があるのも贔屓目に評価してしまうところ。

肝心のシナリオはかなりシンプル。12年越しの秘密のメッセージが、永久に消滅してしまう寸前で掬い上げられる。わざと謎解きのような不確実な手段でメッセージを残すいたずら心がいかにも彼女らしい。自分が死ぬ前には伝えたくない。でも死後には確実に届けたい。彼ならきっと見つけてくれるはず。彼女が寿命を全うしたちょうどいい頃合いで、律儀な彼が自分の職務を全うしていれば必ず突き当たるような仕掛けだったけど、何かの手違いでそのメッセージが届かなくとも構わない。それすらも運に委ねる投げやり感が、先に逝く者として別れ方を決めたくない、という隠した現世への未練を感じられる。