ランニング終わりにコンビニで惣菜パンを買う。
「温めますか」の声に「はい」と応じ、レンチンが終わるのを待つ。
受け渡しの際、思いの外熱かったのか、店員は惣菜パンを床に落としてしまう。店員はバツが悪そうにして、「交換しますね」と在庫の棚に駆け出そうとした。
私は包装されているものが床に落ちたくらいでつべこべ言うつもりもなかったので、「あぁ、それもらうんで交換しないでいいっす」と店員を押し留めた。
店員は、それはそれで決まりが悪いのか、100円だけ返金しますと100円玉を差し出してきた。ここで固辞するのも収まりが悪いので、素直に受け取った。
その100円玉がまた、ありえないくらい汚れていた。
床に落ちた個包装の惣菜パンより触りたくないと思えるような小銭を、お詫びとして渡されるとは。
不意に胸の名札を見ると、彼は店長さんだった。
深夜のシフトをオーナー自らが回してるんだなあ。
そんな事を思うと、この汚れた100円玉が急に重みのあるものに感じられてきた。この100円を稼ぐためにこのオーナーは夜通し立ち続けているのだ。
何とも言えない数奇なひとときだったけれど、とりあえずもう少し頻繁にこのコンビニを利用しようと思った。