un deux droit

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北海道民でも伝わらないかもしれない「ポークチャップ」

給食で大好きだったのに、給食でしか食べたことがなく、家庭でも出ることがなかったし、大人になってどれほど定食屋に通っても登場しない謎の料理がある。




それがポークチャップ




謎の響き









ポークチョップでもないし、ポークケチャップでもない。






ポークチャップ






これがどんなおかずか説明するのはとても難しい。私が愛した『ソレ』は、「ポークチャップ」と画像検索をして出てくるものと似て非なる形状だったのだ。


おそらく生姜焼き用くらいの豚ロースの薄切り肉をカリカリにあげていたのではないかと推測する。記憶の中の『ソレ』はカリカリに揚げたせいで、ジューシーさのかけらも感じられない見栄えになっており、身が縮んでクシャッとひしゃげている。

色はナポリタンのソースのようなものが満遍なくまぶされている。ケチャップよりもややオレンジ色が強い。
カリカリで、むしろパサパサに近い見た目の割に、噛むとじゅわっと豚の脂が滲み出てくる。あー、想像しただけでいまだに涎が出る。ケチャップよりも甘さの際立ったソースの味も堪らなく好きだった。





大学生の時に、不意にポークチャップの存在を思い出し、どうにか再現できないかと試してみた。トンカツ肉を買ってきて、片栗粉をまぶし、揚げ過ぎなくらい揚げる。ソースはケチャップとトンカツソースとバターをおよそ1:1:1の割合で煮詰めてみる。揚がった肉をソースにくぐらせる。


記憶のそれとは味は違うけれど、これはこれで美味ということで、それ以上の研究には踏み込まないことにした。

今でもあんどう家の鉄板メニューの一つとして「ポークチャップ」の名前で夕飯に出したりする。だから家族の中ではこれが「ポークチャップ」になっている。家族は皆九州人だから詳細にはこだわらない。

きっとこのままこれを「ポークチャップ」として受け入れ、子どもは「父が作って食べていたが大人になってから一度も出会わない謎のメニュー」として人生を送る。引き継がれなかった味と新たに捏造した味。レシピというのはそういういい加減な伝承を辿るのだろう。




それにしても私が愛したあの謎の肉のレシピを知る人はもう地元にはいないんだろうなぁ。多分北海道の中でもある郡の、あの給食センターで賄われていたごく数校の小中学校で提供されていたメニュー。知っている人がいれば地元特定されてしまうけれど、地元民ではてなを利用している人がそもそもいない気がしているので杞憂である。


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