un deux droit

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追悼 上島竜兵

訃報を聞いた時から、そのことが頭にこびりついて離れない。

世代は私とずれていて、別に熱烈なファンというわけでもない。裸芸も、予定調和のパターンも、それほど好きな芸風ではなかった。ただ、子どもの頃からずっと見慣れていた存在だった。大笑いするというより、顔が綻ぶ、どこか安心する、という不思議な空気感を持った芸人さんだったように思う。

スピード感溢れ、寸分の隙もない洗練された笑いの場が増えていく中で、どこまでもマイペースに、ぐずぐずとした「緩和」を放り込んでくるスタイルを貫いた。その生き様をカッコ良いと思えるような齢に自分もなったのだとしみじみ感じる。

だからこそと言うか、この結末にはすごくしこりを感じる。何の縁もない人の死を、こうなにもぼんやりと、長々と考え続けることは自分にとっては初めての経験だ。それくらい予想外で、残念で、薄気味悪くもあり、恐ろしさを覚える出来事だった。心に穴が開いたような感覚というのはこういうことかと思った。それは、もともと心の内にあったものが失われるパターンだけではなく、今回のように、心の外から鋭利な突起物で貫通されるようなこともあるのだ。彼の死は、私の世界に対する理解や認識に深刻なバグを生じさせた。

人の死という事実が与える攻撃性の強さをまざまざと思い知らされた。それは予想外な人が予想外なタイミングで予想外な理由であればあるほど強まる。陽のイメージと陰の事実のコントラストがキツすぎる。これまで与えてもらった緩和が、緊張へと反転しながら瞬時に回収されてしまった感覚。じわじわと辛い。


また、インスタの写真が素敵だなぁ。こんなん泣くやろ。

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