un deux droit

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結婚生活の必要十分条件

GW初日はあいにくの雨。市のコミュニティセンターで時間を潰した後、近所のモールへ買い物に行く。そこでまたしても妻と一悶着。

妻は駐車にうるさい。どこに停めるかということに対して、細々と口を挟んでくる。私は私なりに安全に配慮しながら、適切な駐車スペースの探索をしているのに、横から自分と全く異なる観点で意見を言われるのが煩わしいのだ。

やむなく、妻が意見したようにターゲットのエリアを変えようと進路を変更すると、「そもそもなんであのあたりに止めようとしたん」とダメ出しをしてくる。「いや、それはこういう意図があって‥」と返すと、「だったらその通りにすればいいじゃん、今からでも戻れば」と急に匙を投げてくる。「いや、そこまでこだわってないし今から戻るのは面倒だからいいよ」と言うと、「なんでそんな自分の意思ないん、場所決める責任や負担が私にかかってるのわかってる」と詰めてくる。「そんなのに負担かかってくるなら、口を挟まなきゃいいじゃないか」と言うと、「あなたがどういう意図で駐車場探してるかわからないから、亀か寝てるのだろうと思って助け舟出してるだけよ」とつれない態度である。

私からすると妻には妻なりの駐車に対するこだわりがあり、それが私の運転と乖離しており、そのセンスのなさにイライラし、自分の希望を叶えたくてつべこべと口出ししてきているのだとしか思えない。私の運転スキルを採点し、論評し、自分好みに変えさせようとしている。私は、まぁそういう人いるよねと思っていて、その思いをできるだけ叶えようと寛大な対応をとっているつもりなのだが、妻は私が妻をそのように「他人を変えよう」という意図を持って接してくる人間である、と認識されるのが心外でならないらしい。



「私はあなたのことを評価したりはしない、だからダメ出しもしていない、操作しようという意図もない、ただ問題を解決しようとしているだけだ。だから違うやり方を提示されたくらいでいちいち傷ついたり不快に思ったり沽券を持ち出してきたりしないでくれ。あなたの人格を脅かしたところで私に何の利益があるのか。あなたの存在を虐げたところで私は何を喜びに感じたら良いというのか。その服ダサいねも、ちょっと臭いよも、禿げてきてるよも、稼ぎ少ないねも、だから『あなたの価値が低いと思っています、嫌です、嫌いです』という意味ではない。その状態の放置があなたや家族にとって不利益が生じる可能性があるから、対処しましょうと言っているだけ。何の感情もないから安心して。なんでも遠慮なく言うのは、『その問題の数だけあなたを嫌いです』という意味じゃないのをいい加減理解して。むしろ問題の数だけまだこの家庭がより良くなる余地があると喜んで欲しいくらいよ。私があなたをパートナーとして受け入れたのは問題がないからじゃない。問題を共に解決できる人間だと思ったから。その評価だけで他は何も要らなくない?わかったらさっさと解決に取り掛かって。こんなことでいちいち突っかかってたら、むしろその唯一にして最大の評価の部分を見直さなくてはならない。すなわち関係の解消。言い換えると、問題解決に取り組めるということは私にとって結婚生活が成立するための必要十分条件ってことなのよ。それさえあれば十分だけど、逆にそれがなければ成り立たない。」

良し悪しは別として、私はしばしば妻の論理展開の巧みさに舌を巻く。いろんな意味でとんでもない人と結婚したなと思う。妻のロジックは美しいが、成立させるには私の感情を除外することが必要。つまり悟りを開くより他ない。とんでもなく修行の厳しい寺に出家してしまったようだ。