un deux droit

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五目あんかけ焼きそば(自作)

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かつて札幌に、六宝飯店という店があった。
貧乏学生と、ワンカップでベロベロになった身元不詳のオジ様が足繁く通う、異様な佇まいの店だった。
そこの名物があんかけ焼きそばだ。大概が北24条界隈でベロベロに酔った帰りの「締め」に食べるので、本当に美味しかったのかどうかはいまだに定かではない。
注文するとまず度肝を抜かれる。薄めた液体洗剤に漬け置きしていた大皿を、真水で濯ぐことなくパッパと水切りをしてそのまま使い回すのだ。水資源を大切にしたSDGsの意識高い厨房さばきと言える。その調理工程を凝視した上で一口食べて催す輩も一定数いるため、「げ○っぽう」という不名誉な通り名を戴いていたりもする。実際食べてみると洗剤の味はしないのだが、来店時は自分の舌が安物アルコールで馬鹿になっているため真偽の程は定かではない。
ともかく、自分でもうまく説明できないのだが、私は六宝にハマってしまった。どうしても定期的に食べに行きたくなる。多分あの洗浄水は店特有の旨味成分なのだ。そう解釈することにした。
札幌を離れた今も、無性に食べたくなる時がある。もうあの味を再現することは誰にもできないのだが、オマージュのつもりで自作を続けている。