un deux droit

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ポイズンな結婚生活

最近は妻とのトラブルを回避できている。というのも、妻の会話に余計な茶々を入れず「相槌マシーン」に徹しているからだ。「へー」「そうなの」「なるほど」「それは大変だね」「すごいね」と、何か言っているようでその実何も言っていない言葉を馬鹿みたいに繰り返している。たまに妻が変化球を混ぜて質問形式の問いかけをしてくるので、そこには具体的な回答を織り交ぜるものの、問われたこと以外は一切答えない。とにかく会話を勝手に展開しないということを懸命に死守している。
そのおかげか妻は飽きることなく滔々と話し続ける。その分私の退屈な時間が長くなる。結論は既に序盤で出ており、残りの大半は意味を持たない余韻みたいなもので、彼女の満足する量まで話しきったら会話は自然に終了する。いつ終えてもいい話を散々引き伸ばされて、その間ずっと油断なく神経を研ぎ澄まして壁打ちの壁の役割を果たすと流石にくたくたになる。これが夫婦の会話の幸福な最終到達地点なのか、こんな意思を持たない木偶の坊として洗練されるために結婚したのかと思うと、虚しさが拭えない。それは金を払ってホストにやってもらうことなんじゃないかと思う。ふと、反町隆史は松嶋菜々子に言いたいことを言いながら生活はできているのだろうか、なんてことに思いを馳せる。