un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

山崎豊子「女系家族(ドラマ版)」

f:id:un-deux-droit:20211212173710j:image

 

白い巨塔以前の、大阪船場の女たちを描いた山崎豊子前期作品に初挑戦。

遺産相続ものの原型のような作品で、現代の人間にとっては話の着地点は序盤で大体読める。それでも人間の浅ましさが余すことなく描かれていて見応え十分。寺島しのぶ演ずる長女の、ただ生まれがいいだけにも関わらず、それを運の良いことと思わず、莫大な遺産相続を当然の権利と信じて疑わない思い上がり方が憎たらしくて良い。クライマックスで、亡き父の冷徹な仕打ちを受けてはじめて、自分は本当の意味で「持たざる者」であることを知る。これは全世界のボンボンに見てもらいたい。己の力で築いたわけではない財は、どうしたってうまく活用できないものだ。あと、宮沢りえの変貌ぶりの鮮やかさも必見。

関西人からすればキャストの関西弁に違和感があって見てられないらしい。関西人でなくてよかった。