un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

家庭内無調整

2日にわたって開催された顧客向けのイベントが無事に終了した。初日のオープニングセッションの責任者を任されていたのだが、大きなトラブルもなく、プロローグとして企画全体の場を温めるトップバッターの役割は果たせたなという手応えを感じることができた。

2日目も順調に滑り出し、何とか最後まで充実したイベントとしてやり抜けそうだという見通しがつき、運営スタッフ全体に安堵の空気が漂ったところで、イベント総責任者の部長が出し抜けに「今日このあと打ち上げやろっか」と思いつきで言い始めた。

いやいや、このご時世、就業時間後に集まろうなんて当日に言うかね。というか何週間前に言われてても調整しなかったけど。スタッフへの労いと反省は翌日以降の就業時間中にしてくれ。最悪ランチタイムでも構わない。無闇に家庭に負荷をかけるようなアイディアを気安く持ち掛けないでほしい。

私の妻は調整させられること自体を激しく憎んでいる。つまり子ども二人抱えて夕食〜寝かしつけまでのオペレーションを一人でこなす羽目になるととてもご機嫌が悪くなる。自分が幸せと感じられる領域で、幸福感を損なわない程度の時間拘束で、負荷が意欲を上回らない程度だけ子どもと関わりたいのだ。また多くの家庭で採用されている「子どもも参加していいので世話も引き受けるからプライベートな予定入れてもいいよね」という理屈も我が家では通用しない。なぜ私が子どもと過ごす権利を奪うのか、別に一人になりたいわけじゃない、と返される。好きな時に子どもと関わり都合が悪くなったら権利を放棄できる状態が維持できないと妻は我慢ならない。

夕飯を作っておく、お風呂を洗っておく、パジャマを選んでおく、という事前に出来る下ごしらえをいくらしたところで、その場その時間でしかできない応対というものが必ずあるわけで、それを一人で担うことを忌み嫌う。私も流石に狭量だとは思っているが、確かに協力する筋合いがないと言えばない。ワンオペを物理的にできることと実際に許容できるということとの間には大きすぎる溝がある。

ただ単に自分の不幸に周囲を巻き込みたいだけなのかも知れないが、世の奥様方ももっと旦那の自由気ままなアフターファイブの予定変更に対して私の妻ばりに不寛容になってほしい。日本中の女性が結託して男性に非協力的な態度を崩さず、ちょっとの負荷にも即座にヒステリーを起こし、アフターファイブに個人的な予定を入れたことを心の底から後悔し、トラウマになるくらいまで憔悴させたら私の孤独感は少し和らぐだろう。

ちなみに、何の家庭内調整もなく寝かしつけまで完了させたら大概22時半くらいになる。これが限りなくワンオペに近いツーオペをしている親の実態だ。もう少しそういう事実を知ってほしいなというのが切実な思い。私は頑なに家庭内調整を拒み続けることで、本当に無理なんだなということをわかってもらえる日を不毛にも待ち続ける。ここで妥協して、変に融通を効かせて打ち上げに顔を出して「ほら何とかなるじゃん」と思われてしまってはこれまでの苦労が水の泡だ。