un deux droit

このブログには説明が書かれていません。

グリーンブック

f:id:un-deux-droit:20211103012432j:plain

寝かしつけで寝落ちしてしまい、半端な時間に目が冴えてしまったので久々に映画鑑賞。面白かった。前情報なしに見たのにいつも実話を土台にした話を引き当てるのはなんの因果か。

舞台は1960年代のアメリカ南部。黒人差別が今よりもはるかに色濃い時代に、一流の黒人ピアニストが2ヶ月にわたる無謀な南部ツアーを企てる。そのツアマネ兼用心棒としてスカウトされたのがこれまた典型的な黒人差別主義者の白人の男。単なるビジネス上の関係に過ぎなかった男達が、予見されていた様々なトラブルに案の定巻き込まれる。

ピアニストは興行する街の先々で、ステージ上では歓待される。一方その舞台裏では、控室が物置だったり、白人のレストランやトイレは使用禁止、ホテルは黒人専用という屈辱的なダブスタの待遇を受け続ける。見せ物として大枚を叩くが同じ人間としては扱わない。その冷遇に動じずピアニストは紳士的な振る舞いと華麗なパフォーマンスで聴衆を魅了していく。このツアーは人間としての尊厳を勇気をもって示し続ける闘いでもあるのだ。

そこに粗暴だが人間味あふれる両津勘吉的な用心棒が、数々の困難で大立ち回りをやってのける。気位が高く神経質だったピアニストが徐々に心を許し、次第に友情へと発展してゆく。筋書きはとてもシンプル。お互いのプロフェッショナルな側面をリスペクトし、偏見を解いていく。人間かくあるべしと思わせてくれる作品。