un deux droit

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人の頭は複雑怪奇

事務所引越しのため、溜め込んできた書類を処分していると、一枚のQUOカードを発掘した。

なんだこれ、と思っていると、「ああそれ〇〇社さんからもらったやつだわ」と元上司が呟く。

〇〇社さん懐かしいっすね〜と話していると、元上司から出し抜けにとんでもない新情報が漏れ出る。


「あそこのT部長、捕まっちゃったんだよね」



想定外の一撃に唖然としたが、気を確かにして詳細を尋ねたところによると、T部長は1000万円を横領して懲役の実刑を受けたらしい。ネットで検索すると4年前の地方紙の小さな記事でまだ見ることができた。なんで元上司が今まで黙っていたのか謎だが、「まぁおおっぴらに吹聴して回ることでもないし」と無駄に澄ました対応。なら墓場まで黙っとけよ。

それにしても、私の知人で犯罪者に転落した者は、夜中に全裸で徘徊して捕まったり、未成年の女の子を売春して捕まったり、未成年の女の子の画像を大量に保有していて捕まったりと、変態性に偏った人間ばかりだったが、ここに新たな1ページが加わった。

私が営業担当だった時期も4年ほどあり、当時の印象と犯罪の事実と照らし合わせる。
一見実直そうな見た目、少し神経質な側面、不意に見せる気性の荒さ、何度も語る昔の武勇伝、通な店をたくさん抱えている風流人ぶった振る舞い…ちょっと変わった人だなとは思うものの明らかにやばいやつという印象は与えない程度の立ち振る舞いはしていた。そして決定打は独身。そして生まれ故郷と勤め先が遠い。地縁もなく親族もなければストッパーになるものが自分の心持ち一つだったとすれば、倫理観の乏しい人間だったなら環境が整えば一線を超えてしまうのだなぁとしみじみ。

私が真剣に商談をしていた相手が、同時進行でコツコツと横領していた事実がなんとも間抜けでならない。真剣に向き合ってた当時の自分がアホくさい。時には白熱した議論も交わし、時には彼の語る夢に感動しすらもしたというのに。同時に、大義に燃えながら小利を貪るという極端な二面性を一つの人格に収めておくことは可能なのだなぁと感心すらしている。単に自分の目が節穴だっただけかもしれんけど。また一つ勉強になった。