un deux droit

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妻は口論の収め方の作法がなってない

「私も悪かったよ」
この一言を妻が言えたらどんなに幸せだったか。
この一言は実際に非があることを認めるという意味ではない。ただ、感情の衝突を円滑に宥めるための方便みたいなものだ。100パー相手が悪いと思っていても、関係を破綻させるまでのことでもないときに、いわば歩み寄りの合図として儀礼的に述べるものだ。
だから相手がこの言葉を発したからといって鬼の首を取ったかのように反撃を仕掛けてくるというのはマナー違反である。こいつ日本語通じねーやつだなと嫌われてお終い。まぁ確かに他言語には翻訳が不可能なニュアンスなので日本語ネイティブにしか通じないやりとりかもしれない。
これが妻には全く理解されない。私が先に折れて「悪かったよ」と歩み寄ると「ほら見たことか」と追撃の雨が降る。私は一切悪くないと突っぱねる。10vs0で私に過失がある、という着地しか許さない。これが本当に窮屈。実際に私が悪いとは微塵も思っていないのに、そんな心のこもっていない一言をもらって何の足しになるの?と本気で言う。いや、それは引き続き相手と良好な関係を維持したいという挨拶だよ。そう私が言えば、いやいや関係を維持するかはこの話の決着次第で決める。最初から着陸ありきでなぁなぁにするつもりなどない。私はいつだって別れていいと思っているからだ。こう公言して憚らない。
じゃあわかったよ、と口論の締めは100パー私の加害者責任を認めて和解の形を取るのだが、ほとぼりが冷めて表面的には良好な関係に戻ったはずの段階においても、あの時はちょっと言い過ぎたとか、こころないことをいってごめんね、といった相手をいたわり思いやる言葉の投げかけはついをぞ耳にすることがない。そうして私は諍いを解消するたびに割を食ってるなという不満の澱を堆積する羽目になる。これを乗り越えるには妻をEQの低い劣等な人間と軽蔑するしか方法が思いつかない。本当はそんなことを思っていきたくはないが、もう私の心に澱を溜めるキャパが無くなってきたので仕方がない。