un deux droit

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『三体人』化した中国人の脅威

三体Ⅲ、読了。読み終えたのは今日の深夜1時過ぎ。作品同様、自分自身も宇宙空間をふわふわと漂っているような、足元のおぼつかない脱力感に酔って気持ちが悪い。いわば宇宙酔い。それだけ下巻終盤の展開を理解するのに脳みそが火花を散らしていたのだと思う。まだまだ続きを読みたいような、そしてもう二度と読み返したくないような、そんな不思議な読後感。
ⅠとⅡ、ⅡとⅢは果たして一連の作品と呼べるのだろうか。葉文潔の存在などもはや遠い彼方。Ⅰの世界で駆使されていたテクノロジーがⅢの世界ではいかに陳腐なものだったか、Ⅰを読んだときに「すげー!!」と興奮していた自分が恥ずかしくなる。著者がⅢの着地点から逆算してⅠを書いたんだとしたら、私にはもう著者が異星人そのものに映る。感動する作品はたくさんあるが、感情が麻痺する作品はなかなかないと思う。
恐ろしいのは『三体』が中国で発表されてもう10年経過しているという事実。黒暗森林モデルで言うところの、「こちら側の座標が10年前に顕わになっていた」ことに今更気づいたような気分。『三体』から刺激を受けてブレイクスルーしたであろう創造力の集合体にはもはや太刀打ちができないのではないかと思われる。こういう文学が自国語で読めるというのは本当に幸せなことだ。