un deux droit

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小田嶋隆「災間の唄」

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文筆家として敬愛する小田嶋隆先生の、10年間のTwitter投稿の中から選りすぐりのツイートを一冊に収録した作品。フォロワーとしては一通り目を通してきたはずの投稿も、改めて時系列を追うとまた違った新鮮さがあった。
何よりすごいのは、ツイートなんてのはその日その日の文脈に沿って初めて読めるような、足が速い代物なはずなのに、それらを極力削ぎ落とした形でも一つ一つが作品として鮮度を失っていないこと。多分どんな人気のアカウントも、同じようにツイートベスト盤を作ろうとするとほとんどの確率で解読不能な書籍が出来上がるはずだ。だから、読み物として成立している時点で既にすごい。その上で面白い。改めてプロの凄さを感じる。
中身について一言言及するならば、日本という国が漸進的にしょぼくれて、見苦しくて、しみったれた共同体に落ちぶれていく様子が淡々と流れていく。ノンフィクションのディストピア小説。今一度本邦の体たらくを刮目して見よ。