un deux droit

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西鉄のプロフェッショナリズム

久々の対面営業のため、これまた久々に西鉄バスに乗り込む。しばらく乗っていると、とあるバス停で急に運転手が立ち上がり、颯爽と下車していった。
最初はこんな爽やかな職場放棄の仕方があるか??と驚いたが、すぐに理由は判明した。運転手は乗車口へと駆けていき、手慣れた手つきでタラップを設置した。その後入り口近くの1人席を手早く壁際に畳み込んだ後、また乗車口から駆け下り、車椅子の乗客の乗車をハンドルを押して補助した。運転手は容量よく車椅子を固定した後、また運転席に駆け戻っていった。その間、ほんの一、二分。その鮮やかな手捌きに、思わず感心のため息を漏らす。他の乗客は誰も一言も発しなかったが、車内の雰囲気はそれまでよりどことなく朗らかだ。
普段街中で、身体の不自由な方に遭遇する機会はとても少ない。それはおそらく実数が少ないのではない。本当はもっとたくさんの人数いるのに、そういった方が街を出歩くのを不便に感じたり、周囲に迷惑をかけるのを気後れしたりして、都会から足が遠のいてしまっていて、結果として出会う頻度が少ないだけなんだと思う。この西鉄バスの運転手は、健常者と体の不自由な方との間にある、都会の利用しやすさのギャップを極力最小化しようと努めているように感じた。ただ人を一定の金額で任意の場所に輸送する以上の、精神的に豊かで公平な社会の形成に寄与する姿を私は美しいと感じた。保有台数世界一のバス会社は単に規模の大きさだけで飯を食っていない。「誰しもが快適な暮らしを享受できるようにする」という、真の意味でのインフラとしての矜持を見せてもらった。カッコいいぜ、西鉄