un deux droit

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歯科医への勝利宣言

一年ぶりに歯医者。虫歯ではなく定期検診だったが、幸いなんの虫歯もなかった。
30代に突入し、急に虫歯に悩まされらようになった。加齢による唾液減少、育児のストレスや寝不足による体調不良など、さまざまなトリガーがあったが、あまりにも次から次へと虫歯が見つかり、神経を抜く歯まで出てくる始末で、意地でも根本的に虫歯が発生しない状態を作りたいと願うようになった。
最初にチャレンジしたのは糸楊枝。フロスと言うらしい。これを歯磨きの後にやるようにした。習慣化するのは苦痛だったが、歯磨きだけでは取れない汚れを視認でき、成果が見える分継続の波に乗ることができた。おかげで今ではフロスなしで寝る方が気持ち悪くなった。しかし虫歯は無くならなかった。
次に歯科医から勧められたのはヘッドがL字に曲がりブラシ部分の極端に小さい歯磨きの併用。正式なブラシ名は知らないので勝手にL字ブラシと呼んでいる。これで歯茎や歯間を磨くと磨き残しがないとのこと。しばらくやってみたが超絶に面倒くさい。うんざりするほど時間がかかるため、だんだん適当になる。すると当然効果が出ない。それで結局やめてしまった。
もう何箇所目かになる虫歯の治療の後、もう顔を覚えられただろう歯科衛生士が呆れ顔で歯磨きの使い方を私に指導した。そのふてぶてしい態度が気に食わなくて、もうこの屈辱を味わいたくないと強く思ったとき、ふと見落としていた事実に気が付いた。衛生士は指導の前に毎回クリーニングをしてくれるのだが、必ずその時のブラシは電動だった。「電動ブラシにしたら虫歯減りますか?」私は率直に尋ねた。衛生士は数秒口をつぐんだ後、「そういう問題じゃないです」と少し不愉快な表情を浮かべて呟いた。ビンゴだーー私はそう直感した。
歯科衛生士の否定を無視して、その足で家電量販店に行き、スターターセットを鷲掴んでレジに叩きつけた。就寝前に人生初めての電動ブラシを試してみると、歯医者のそれより振動が大きく、やっぱりもう一段高級なバージョンにすべきだったかと戸惑ったが、慣れの問題だろうと割り切って使い続けた。ーーそして私は虫歯と無縁になった。

電動ブラシとフロスのコンボ生活を始めて3年近く経つが、過去あれだけダメ出しされ続けてきたのが嘘のように、よく磨けていますねと優等生扱いされるのは皮肉な話だ。私自身はなんの努力も技量の向上もしていない。あなた達と類似の武器を手にしただけだ。歯科が電動ブラシを推奨しないのは手動神話に侵されているからなのか知られていない副作用があるからなのか歯ブラシメーカーからの圧力からなのか患者が減って商売あがったりになる懸念からなのかは知らないが、医療費と時間の節約になるから虫歯で悩む人は一度お試しあれ。