un deux droit

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人種問題に向き合う態度

大坂なおみ選手が黒人銃撃事件を受けて、出場中の大会を棄権したりしなかったりして批判を受けている件。

批判している人は、その行動そのものに納得していないのではなく、そもそも彼女の存在が気に食わなくて、何か物議を醸すような出来事が起きないかと虎視淡々と狙っていて、ここぞとばかりにいちゃもんをつけているだけのように見える。
結局、彼女が日本国籍の選手として活躍していることの違和感が拭えないのだろう。外見が黄色人種で日本語を流暢に操り高校ぐらいまでは日本で過ごしてきたような人じゃないと日本人と思えず、そういう特徴を持った人間なら取らないであろう行動を取る人を、「やっぱり自分たちとは違う」と除外したいのだ。
私に関して言えば、大会の棄権という行為がなぜ抗議行動と言えるのかという因果関係を肌感覚では理解していない。黒人差別の問題にも精通していないし、そういう生活環境に置かれたこともない。自分にはよくわからないけれど、そういう作法なんだろう、とぼんやりと共感し、賛同している。今回のことは勇気ある行動だと思う、と素朴な敬意を抱いたし、そんな彼女が日本にルーツを持っていて、わざわざ人種問題に鈍感な日本の国籍を選んでプレーし続けてくれていることも、嬉しく感じている。彼女の行動をきっかけとして、普段考えないことについて思いを馳せる機会をもらったと感謝してもいいぐらいじゃないか。まぁそういった様々な人の人種に対する見識(の無さ)を刺激しただけで彼女の行為は意味があったのだろう。

最初の事件で狙撃されたのが日本人(黄色人種)だったら彼女の行為は共感された気もするし、彼女の国籍が日本じゃなかったらどうぞご自由に、となった筈だ。日本国籍を名乗る以上ふさわしい立ち振る舞いってのがあるだろう、というしょうもないお国根性の卑しさを垣間見た出来事だった。