un deux droit

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会社が潰れそうなとき

「キャッシュが足りない」

今週に入って管理職陣が騒ぎ始め、ばたついている。

いよいよ当社も危険水域に入ってきたようだ。
売り上げ見込みは前年比6割程度。
研修の収入が壊滅的なのが痛い。
オンラインセミナーへの移行はすでに行なっているが、顧客側の環境整備の問題でなかなか実施にこぎつけないのだ。もっと突き詰めていけば研修で学んだことを生かす場がない。みんな在宅になって職場というものが消滅してしまったので、コミュニケーションもチームワークもリーダーシップもあったもんじゃない。

会社は緊急の融資を受け、当座の資金は調達したらしい。経営陣は起死回生の一撃としてサブスク系のサービスに賭け、開発に有り金をオールインし、先行販売のキャンペーンを打ちまくっている。しかし、社内外の反応は芳しくない。
まず開発部隊。各部門から強引に引き剥がされて寄せ集めてスタートしたプロジェクトは、メンバーの動機から出発したものでないからやらされ感満載だ。ミッションと締め切りだけ厳命されて放り出され、評価と紐付く保証はなく、既存の業務は減らされない。完全に貧乏くじだ。そんなんだから納品物のクオリティも売り物としては勝負にならないはずだ。
続いて営業部隊。不倫オバはん支店長が鼻息荒く営業メンバーに販促ツールを押しつけ、マイクロマネジメントを遺憾なく発揮し、恐喝、吊し上げ、人格否定という暴虐の限りを尽くしている。上へのゴマスリも怠らず、見込みが立たないのを現場の意欲の低さという問題に責任転嫁している。営業からすれば出来てもおらず、出来る保証もなく、出来上がったとて売り物として微妙なラインになることだけははっきりしていて、かつ法外な契約料を毟り取る極悪な商品を、顧客に押し売りなどしたくはない。誰一人芳しい成果を上げないので、焦ることもなく様子見を決め込んでいる。

目の前の事象は、コロナを契機とした経営危機だけど、それで潰れる会社というのは、そもそもコロナ前から根腐れしていて、ただそれが露呈しただけなんだということが本当によくわかる。
危機に対して現場スタッフは驚くほど当事者意識を持っていない。経営陣が罵詈雑言の限りを尽くしても馬耳東風だ。なんのアイディアも自発的に出てこない。やってるフリだけ。
結局、社長がこれまで会社を私物化してきたツケが一挙に押し寄せてきている。オレの会社。オレの気に入ったやつしか登用しない。お前らはオレの野望を叶えるための駒。手足。お前らの人生には何の興味もないね。オレ様の自尊心と豊かさが満たされることが唯一にして最大の目的。そういう下劣な自尊心が漏れるたびに、社員の心は離れていった。慣性が働いているうちはそれでもリピートの仕事だけで延命できていたが、新商品を開発するようなモチベーションを持った者はごくわずかだったし、開発してもそれに興味を払う者すらおらず、主力の商材まで育ったものはごくわずかだった。
こんな貧弱な環境を意に介さず楽しく働く変わり者の一人である私は、新規のセミナーを今週リリースし、昨日無料招待でお客さんにお披露目した。集客は誰一人手伝ってもらえずメルマガのみの告知だったが定員は埋まり、反応も上々だった。有料版で自組織の研修として導入を検討してくれる顧客も数件あった。そういった事実をレポートにまとめて社内の掲示板にあげたけど、それでも反応がほとんどない。導入検討するよと明言した顧客の担当営業ですらだ。ひょっとしたら在宅勤務のしすぎで私が気付いていないだけで、会社はとっくの前に潰れているのかもしれない。