un deux droit

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目標管理を徹底して舐め腐ったら昇給昇格したよ

昨年の自己評価項目、全部10点満点にして返したらS評価になって帰ってきた。去年より月収が2万アップするらしい。昇級だけでなくなんでか等級まで上がっていた。
自己評価にはなんの裏付けもない。面談でも居直って、なんか文句あんの?と高圧的な態度だけで乗り切った。上司は私の仕事をまともに観察していなかったため反論ポイントが見つからず、責任を取りたくなくてそのまま上に流したようだ。そして吟味されないまま私は満足な評価を得た。いままでクソ真面目に目標管理と向き合ってきた己の愚直さを悔やんだ。満足いく評価を勝ち取るために唯一必要な要素は厚顔無恥だった。「俺すげー」「金よこせ」それだけをひたすら連呼すればよかった。
思えば一昨年までの私は無駄に小賢しかったのだな。
公平性と客観性をもって自己中心的な評価をできるだけ廃し、貢献してくれた同僚への感謝を忘れず積極的に良い評判を書き連ねたりもした。自己評価を適正につけられる人間が登用されるべきという信念からだ。しかし私のその控え目で高邁な信念は汲み取られることなく、私が名前をあげた人たちばかりが登用されていった。その信念は評価者が持てばいいだけの話で、評価される側が判った風な態度で臨むのは越権行為だった。ただ見苦しく口をパクパク開けて餌を寄越せと叫び、その声の大きいやつに1番餌が与えられるだけだった。まぁ自分にSつけた奴にB評価を下すのは上司としても心理的に難しい。なのでSとハッタリをかましただけで少なくともA評価の獲得は手堅い。逆に過去の私のように謙遜してB評価をつけるような奴は良いカモだ。原資の少ない中で「別に俺そんなにいらんす」なんて申し出てくるアホがいたら愚かな評価者は「アジャース」と言って安易に飛びつく。良くてA。Sがつくことは絶対にない。自分が勝手に苦しんでいた公平性は高い給料をもらっている管理職だけが苦しめば良いことだった。その苦痛の対価として手当をもらっているのだ。
それにしても目標管理に自己評価欄なんてのがあるのは本当にいやらしい。見かけの名前とは異なり、これはただの踏み絵だ。恥も外聞もかなぐり捨てて「もっとお金欲しいです!!ワンワン!!」と舌を出し、尻尾をふりふり、三回回る行為を強制している。私は飼い犬であなたが飼い主。そんな忠犬性を再確認させるための儀式として機能している。これはプライドの高い人間、特に運悪くクソ上司を引き当てた人(ほとんどの人がそうだが)には塗炭の苦しみである。とにかく私は最初の一回を踏み越え、味をしめた。今期以降も馬鹿みたいに満点をつけ続け、自分の思い描く公平で厳正な人事評価は自分が管理職になった時の楽しみに取っておくことにする。