un deux droit

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満員電車のその後は

今日は朝から電車が遅延していた。

いつも利用している駅は普段見る事のない長蛇の列。東京で少しでも勤務したことがある人なら戦慄する光景だろう。

これはいつ会社に着くかわからないぞ、と暗澹とした気持ちになりながら会社に遅延の見込みの連絡をする。列に並ぶ人々も各々に連絡を取っている。

やがて1時間半遅れの電車がホームに着いた。車両の中はすでに過積載気味で、うんざりしながらもそこからさらに20人くらいが各ドアから詰め込まれていった。毎回不思議に思うが人間って見かけより収縮できるみたいだ。

私は人生で初めて、最初に来た電車に乗り込むのを諦めた。急いでいなかったのもあるが、満員電車に揺られる耐性がもう私にはなかった。東京と違って、私の住む地方都市の会社員たちは一様に諦めが良く、次にいつ来るかもわからない後続列車を待つ列をなした。おかげで割とスムーズに先発の列車は発車していった。

すると5分も経たないうちに後続の列車が来た。何とその列車はほとんどスカスカで、座席に余裕で座れてしまった。普段ですら座れることなどほぼないのに。5分前の電車を諦めるだけでこんな至福のひと時が到来するとは思わなかった。

次の駅ではやはり私が乗った駅と同じくらい混んでいて、並ぶ人が全員乗れなかった様子だ。通路に詰め込まれた立ち乗りの人達は、優雅に座る私たちをうらめしげに見つめる。その私がまさかあなたの一つ前の駅で座れたとはつゆほども思わないだろう。おそらく後続の列車はみんなが予想よりスカスカのはずで、そして思ったよりも早く来る。見送った方がおそらく快適な通勤となるはずなのだ。

これが地方都市の現実なんだなと嘆息した。働く人の数は想像するよりかなり少ない。東京だといくら後続の電車を見送っても空いている電車など来ない。街そのものが過積載だからだ。この人の偏りは国の作り方として不健全だなと思う。偏りの恩恵を受けている身なので、私個人としては別にこの都市の人口が増えてくれなくても構わんが。

それにしても各駅の混雑状況を可視化するシステムとか開発できんもんかな。そしたら無闇に乗り込もうとする人が減って混雑の緩和に繋がりそうなのに。私が見送った車両に最後に乗り込んだ、扉に顔を貼り付けて苦痛に歪むおっさんの顔が脳裏にこびりついている。自分自身は優雅に通勤できたものの、やはりあまり気分の良いものではない。